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1 中小企業の人手不足対策について

 少子高齢化による労働力人口減少などを背景とする人手不足は、県内の中小企業にも大きな影響が出てきている。
 人手不足は、従業員の勤労意欲や企業全体にも悪影響を及ぼすが、労働力人口の減少が根本的な原因であることから、経営者の努力にも限界がある。
 対策の1つとして外国人労働者の受入れが進んでおり、下松市でも徐々に増加し、相談も受けることがある。
 本県では山口しごとセンターにおいて採用から就職、定着までワンストップでサポートをしているが、未だ県内の中小企業には雇用の仕方などに理解が広まっていない。
 政府は「特定技能2号」についてこれまでの2分野から11分野に拡大することを閣議決定し、秋頃から資格取得に必要な試験を始める方針となっている。
 今後、外国人労働者の雇用増加が見込まれ、中小企業の採用活動は活発化していく事は容易に想像できる。
 県としても中小企業がスムーズに採用活動ができるように、追加される分野においてどの程度の採用が見込まれるかの調査も含めて、これまで以上に中小企業の採用活動をサポートできる体制の構築を目指していただきたい。
 人手不足が深刻化する中、中小企業の外国人雇用に対するサポートについて今後どう取り組まれるか所見を伺う。

答弁 部長
 中小企業の人手不足対策についてのお尋ねにお答えします。
労働力人口の減少が進む中、本県産業が持続的に成長・発展していくためには、産業を支える人材の確保が極めて重要です。
 このため、山口しごとセンターにおけるワンストップ相談体制の整備や就職フェアの開催など、様々な支援策を講じ、人材確保に取り組んでいますが、地域経済の回復に向けた動きが強まる中で、企業の人手不足が深刻化しています。
 外国人材の活用は人材確保を図るための有効な方策であることから、こうした課題の解決に向けて、外国人材の円滑な受入れを積極的に支援することとしています。
 具体的には、県内中小企業等がニーズに応じた外国人材を円滑に受け入れできるよう、山口しごとセンターに「外国人材雇用アドバイザー」を配置し、外国人材の採用・受入れについての助言等を行っています。
 また、労働局と連携し、外国人雇用時の留意事項やコミュニケーションの取り方などについてのセミナーを開催するとともに、職場で必要となる日本語の習得に向けた企業の取組に対する支援を実施しています。
 こうした中で、昨年10月末現在の本県の外国人労働者数は9千人を超え過去最高となり、今後、技能実習制度の見直しや特定技能2号の対象分野の拡大により、更なる増加が見込まれます。
 このため、外国人材の受入れ等に部局横断的に取り組む庁内連絡会議を活用し、国の新たな制度の方向性が示される秋頃を目途に、企業や業界団体を対象とした外国人材受入れの見込みや、求める支援策等について調査を実施します。 
 また、調査に併せて、アウトリーチ支援による企業の雇用ニーズの掘り起こしを行うとともに、企業ニーズを踏まえ、外国人雇用全般に係る総合的な相談体制の拡充などの支援策について検討を進めてまいります。
 県としては、国の新たな制度の検討状況を踏まえ、外国人材の受入れが円滑に進むよう、中小企業の支援体制の強化に積極的に取り組んでまいります。

2 AIの活用による地域課題の解決について

 ChatGPTの世界的な流行によって、生成AIへの注目が大きく高まり、様々な議論がなされている。
 自治体によっては活用に慎重な姿勢も見受けられる中、知事は生成AIが持つ可能性にいち早く着目され、リスクを排除しながら、行政の効率化や地域課題の解決に前向きに活用したい、とのスピード感のある方針を示された。
 生成AIを含むAIの活用は、デジタル化の取組を加速させ、生産性の向上のみならず、地方が抱える様々な課題の解決に資する可能性を持っていると感じている。県においても、こうしたAI技術を有効に使いこなし、様々なサービスの向上を図っていかなくてはならないと考える。
 AIの更なる活用を進めるにあたっては、有識者や専門家を交えながら、多様なリスクに適切に対応していくことや、行政分野での活用をしっかりと進めていくことが重要であり、高いAIリテラシーを持った人材を、官民双方で育成・確保していく取組も必要だと思う。
 県自らが旗振り役となり、地域課題解決に向けて、様々な主体や分野でのAIの実装を促し、多くの方々が生活や仕事、事業活動の中で、AIによる利便性や有益性をしっかりと実感できるよう、取り組んでいただきたいと思う。
 AIを活用した地域課題の解決に向けて、県はどのような認識に立ち、今後どのように取り組まれるのか、伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問にお答えします。
 まず、AIの活用による地域課題の解決についてです。
 私は、デジタルの力を積極的に活用して、地域が抱える様々な課題の解決を図り、それにより、県民が豊かさと幸せを実感できるデジタル社会を構築することを目指し、本県のデジタル改革を強力に推進しています。
 その推進にあたっては、改革のより高い成果を生み出すためにも、日々進化するデジタル技術の動向に常にアンテナを張り、それを迅速かつ効果的に取り込んでいくことが重要です。
 とりわけ、急速に進化するAIは、人手不足などの課題の解決とともに、AIによる新たなサービスの創出など、県民の暮らしをより豊かで便利なものとすることが期待されており、その活用を積極的に進めていきたいと考えています。
 これに向け、まず、お示しのあった生成AIについては、各CIO補佐官から、その技術が、社会・経済を爆発的な速度で大きく変えることを前提に、県が遅れることなく対応できるよう、速やかに動き出すべきとの意見をいただきました。
 こうしたご意見を踏まえ、私は庁内に新たに「AI活用検討チーム」を立ち上げ、生成AIの活用にあたっての当面のルールを定めた上で、その可能性を把握するための試行を広く進めており、今後、有効な活用手法をしっかりと見出し、リスクに的確に対処しながら、その実装を図っていきたいと考えています。
 また、県内におけるAIの利活用促進に向けた取組も更に強化・加速していきます。
 これまで取り組んできたインフラメンテナンスや子育て支援などの取組に加え、今年度からAIデマンド交通等を導入する市町を支援するなど、「デジタル実装推進基金」を最大限に活用して、各分野でAIの実装の拡大を図ります。
 さらに、県のDX推進拠点「Y-BASE」において、企業等によるAIの画像認識や顔認証等の活用事例も生まれており、今後も、DXコンサル等を通じて、様々な主体のAIの活用を支援していきます。
 こうした取組に加え、AIの活用を担う、官民双方の人材の育成・確保も大きな課題です。
 このため、CIO補佐官によるセミナー等の開催とともに、オンラインによるAI学習プログラムの提供やAI開発スキルの向上を図る「ワールドAIコンペティション」の開催など、「Y-BASE」の機能も活かし、人材育成の取組を強化していきます。
 さらに、来月の台湾訪問では、私自身がオードリー・タンデジタル担当大臣と、生成AIとの向き合い方や人材育成の進め方等について意見交換を行う予定としており、対談の成果をAI時代のデジタル改革の新たな展開へと活かしていきたいと考えています。
 私は、AIの活用による地域課題の解決に向けた取組を積極的に展開し、県民の皆様に確かな実感につながる成果を届けられるよう、今後も全力で取り組んでまいります。

3 事業承継の促進について

 県内企業の社長の平均年齢が過去最高を更新している。要因は、「事業承継」による世代交代が進まないことだ。
 後継者難による昨年度の倒産件数は、過去最高を更新しており、後継者不足による休廃業も増加傾向にある。
 事業承継は、事業者個々の問題ではなく、地域経済、日本経済全体につながる大きな問題である。
 特にコロナ禍で打撃を受け事業承継を後回しにしてきた事業者は、続く物価高で「あきらめ」を加速させているのではないかと考える。
 事業者が、廃業を選択する前に、他の選択肢がないか再評価できる環境を整えることが重要であり、そうした事業者がM&Aなど様々な継がせ方があることを知り、最善の選択肢を見つけることができるよう支援していただきたい。
 また、事業承継を更なる成長と発展を遂げるための重要な転機として積極的に活用するためにも、未来を担う後継者が新たな挑戦に果敢に取り組めるよう、関係機関が一体となりサポートしていくことも必要である。
 超高齢化社会へ突入する中、コロナ禍や物価高等で鈍化した中小企業の事業承継対策を再加速することが、地域経済の持続的な発展に向け必要だと考えるが、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、事業承継の促進についてのお尋ねにお答えします。
 県ではこれまで、国や市町、関係機関で構成する事業承継支援ネットワーク会議を核として、セミナーによる普及啓発、専門家派遣による相談対応、さらには、後継者育成支援プログラムの実施等により、円滑な事業承継の推進に取り組んできました。
 こうした中、本県中小企業の後継者不在率は改善が見られるものの、依然として全国水準を上回り、また、経営者の高齢化も進みつつあることから、事業承継の早期準備への意識喚起や、事業者の抱える課題等に即した支援を、更に進めていくことが必要です。
 このため、昨年度、600社を超える事業者に対し、訪問実施した経営課題診断について、今年度から診断員を4名から6名に増員し、事業承継の理解促進や、ニーズの把握等の取組強化を図り、関係機関との連携による的確な支援につなげてまいります。
 まず、親族等への承継を希望する事業者に対しては、商工会議所や金融機関による事業承継計画の策定支援や経営者保証の解除に向けた相談対応等により、後継者の早期確定を支援してまいります。
 また、後継者が不在で、第三者への承継を希望する事業者に対しても、事業承継・引継ぎ支援センターのデータベースの活用をはじめ、M&A支援機関との連携によるマッチング強化等の取組を進めていきます。
 さらに、第三者承継の一層の促進を図るため、今年度から新たに、M&Aの専門家を事業者に派遣し、M&Aに関する経営者の理解を深め、事業承継の1つの選択肢として、その活用を促す取組を進めます。
こ うした取組に加え、事業承継を契機として、経営革新や新事業展開等につながるよう、国の事業承継・引継ぎ補助金や、県制度融資「事業承継支援資金」等の活用促進も図りながら、後継者による新たな挑戦を支援してまいります。
 県としては、地域経済の持続的な発展に向けて、今後とも、関係機関と緊密な連携を図り、中小企業の事業承継の促進に積極的に取り組んでまいります。

4 大規模イベントの誘致について

 コロナ禍が明け、人々は賑わい、活気を感じる大規模なイベントを求めている。このニーズの高まりを逃すことなく、特に経済効果の高いイベントの誘致に取り組む必要がある。
 また、こうした大規模イベントを本県の認知度向上と更なる誘客拡大のチャンスと捉え、イベントと連動した積極的かつ効果的な観光プロモーションの実施により、県内各地へ波及効果をもたらすよう取り組んでいかなければならない。
 一方で、大規模イベントの際にも、交通渋滞という課題が発生しており、主催者側の努力で対応しているが、県が取り組むこととしている山口きらら博記念公園の機能強化においては、こうした課題もしっかり解決していくことが、更なるイベント誘致に向けても重要になるのではないか。
 また、デジタルサイネージを大胆に配置するなど、デジタル技術を使った情報発信機能を備えることができれば、低コストで積極的なプロモーションも可能になり、県内各地への波及効果を高めることにも繋がる。こうした機能強化の実現により、一つでも多くの大規模イベントの誘致を実現し、その効果を県内経済全体へと波及させていただきたい。
 地域経済の活性化を図るため、山口きらら博記念公園における経済効果の高い大規模イベントの誘致と効果の県内への波及に、県はどのように取り組まれるのか、伺う。

答弁 知事
 次に、大規模イベントの誘致についてのお尋ねにお答えします。
 新型コロナウイルス感染症の5類変更に伴い、観光地が活気を取り戻すなど社会経済活動が活発となる中、新たな人の流れと活力を生み出す大規模イベントの開催は、地域のにぎわいを創出し、宿泊や飲食、物産など幅広い分野に大きな経済効果が期待できます。
 こうした中、山口きらら博記念公園では、今年度に入り、西日本最大級のグルメイベント「全肉祭」や、お示しの小田和正氏のコンサートが開催され、コロナ禍前にもなかった新たな大規模イベント開催の動きが次々と出てきています。
 さらに、この秋には、3日間で過去最大規模となる約9万人の来場が見込まれる野外音楽フェスティバル「ワイルドバンチフェス」や、日本初上陸となるディズニー音楽と花火のエンターテイメントなど、集客力の高い大規模イベントも予定されています。
 私は、こうした流れを追い風とし、本県経済の発展的再生につなげていくためにも、交流や集客の拠点として高いポテンシャルを有している山口きらら博記念公園に、今後更に多くの大規模イベントを誘致するとともに、その効果を全県に波及させる取組を積極的に展開していきます。
 まず、誘致に向けては、全国屈指の広大な敷地や自然豊かなロケーションなど公園の強みを明確化し、その優位性をアピールする動画の作成や、イベント事業者を招いた現地視察の実施などにより、効果的なセールス活動を展開していきます。
 一方で、大規模イベントの際には、お示しの交通渋滞の回避も重要であることから、当面の対応として、道路や駐車場内における車両の誘導方法等について、主催者に助言を行っていきます。
 また、今年度は、交流拠点化に向けた基本構想を策定することとしており、その中で、交通量に応じた駐車場の運用の在り方等についても、しっかりと検討してまいります。
 次に、イベント効果の全県への波及については、来場者の県内周遊を促進するため、会場内に観光・物産ブースを出展し本県の多彩な魅力をPRするほか、デジタルサイネージをはじめデジタル技術を活用した情報発信を強化するなど、効果的なプロモーションを展開していきます。
 また、旅行会社に対し、イベントに宿泊やグルメ、温泉など優れた観光資源を効果的に組み合わせた旅行商品の造成を働きかけることにより、県内周遊を一層促進し、観光消費の拡大につなげていきます。
 私は、交流拡大の拠点となる山口きらら博記念公園への大規模イベントの更なる誘致を積極的に推進し、その効果を全県に波及させることにより、アフターコロナの本県経済の活性化に全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

5 教員の働き方改革について

 教員不足は、教育現場に確実に影響を及ぼしている。
 私の地元の、ある中学校では、先生方の業務が多忙化し、当初の予定通りに履修が進んでいない教科も生じ、一部の生徒からは不安の声が出ていると聞いている。
 このような事象は、全県的に生じる可能性がある。
 県教委はこれまで取り組んできた教員の働き方改革をより一層進める必要があるが、児童生徒の学びの充実のため、教員が子どもたち一人一人と向き合い、充実した学習指導に集中してもらえる環境を整えていくことを目的として取り組んでいくことが重要である。
働 き方改革を進めるに当たっては、しっかりと現実を見定め、子どもたちの成長にとって何が必要で、何が出来るのかを、保護者や地域の方々とも思いを共有した上で、実行することも重要である。
 県教委のリードにより取捨選択を行い、関係者を含めて思い切った意識改革を図る取組を進めることも求められる。
 そして、市町教委とも連携の上、オール山口県の体制で取組を進めていただきたい。
 教員不足の影響が現実的な課題として現れている中、子どもたちが安心して学びを継続できるよう、教員の働き方改革を更に進める必要があるが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 教育長
 教員の働き方改革についてのお尋ねにお答えします。
 近年、教員不足が大きな問題となっている中、教職の魅力を高め、教員の確保に一層努めるとともに、教員が、教員でなければできない業務に全力投球できるよう、お示しのとおり、学校における働き方改革を推進することは極めて重要であると考えています。
 このため、県教委では、「学校における働き方改革加速化プラン」に基づき、持続可能な学校の指導・運営体制の構築や、教職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向け、市町教委と緊密に連携しながら、働き方改革の取組を進めてまいりました。
 具体的には、学習指導や校務等におけるICT機器の活用による業務の効率化や、教員の事務的業務を補助する「教員業務支援員」の小中学校への配置に取り組むなど、教員の負担軽減を図ってきたところです。
こ うした取組により、時間外在校等時間の縮減など一定の成果があったものの、教員の勤務の実態は依然として厳しく、今後も、教員の負担軽減に向けた取組を一層進め、児童生徒の学びの充実を図る必要があると考えています。
 のため、県教委では、成績や出席状況などの多様なデータを一元管理し、校務の効率化を図る目的で県立学校に導入した統合型校務支援システムの成果を踏まえ、今年度、全ての公立小中学校へのシステムの導入に向けた支援を行うとともに、教員業務支援員等の定数化に係る国への要望など、学校支援人材の更なる充実に向けて取り組むこととしています。
 また、働き方改革を進めるに当たっては、保護者や地域の方々の理解を得る必要があることから、改革の目的や教員の勤務の実態を伝えるリーフレットを作成・配布するとともに、県内全ての公立学校に設置した学校運営協議会において、学校の課題解決に向けた取組について協議するなど、学校、家庭・地域の連携・協働体制の充実を図っているところです。
 県教委といたしましては、次代を担う子どもたちの豊かな学びや育ちの実現と教職の魅力向上に向け、市町教委や学校、家庭・地域と一体となって、学校における働き方改革を一層推進してまいります。

6 うそ電話詐欺被害防止対策の強力な推進について

 うそ電話詐欺から高齢者を守り、安全・安心な山口県を実現するため、今後、被害防止対策にどのように取り組んでいくのか、御所見を伺う。

答弁 本部長
 「うそ電話詐欺被害防止対策」に関するご質問にお答えします。
 うそ電話詐欺については、昨日現在で37件、約1億1000万円の被害を認知しており、5月には議員お示しのとおり立て続けに被害を認知したことから、県下に「特別警戒警報」を発令するなど、厳しい状況にあります。
 また、依然として高齢者の方が被害の大半を占めており、被害者の中には、金銭的な被害にとどまらず、自責の念や家族への申し訳なさから、自殺を考える方もおられるなど、この種事案は「人の良心に付け込んだ、許しがたい犯罪である」と考えています。
 こうした中、県警察では、うそ電話詐欺被害防止対策を治安上の重要な課題と位置づけ、その撲滅に向け、重層的な取組を強力に推進しているところです。
 具体的な取組ですが、広報啓発活動については、詳細な犯行手口や被害状況について、報道機関へ積極的に情報提供するとともに、あらゆるネットワークを通じ、広く県民に周知しているほか、高齢者世帯への戸別訪問の際には、固定電話の防犯機能の強化について教示するなど支援策にも取り組んでいます。
 また、水際対策として、金融機関の窓口やATM・コンビニエンスストアでの電子マネー購入といった被害が発生する現場で実際に声を掛け、被害を食い止める、そうした協力要請を継続して行っております。
 こうした取組の結果、昨年は166件、本年は5月末現在で58件の被害を未然に阻止していただき、その阻止率は、昨年で約6割、本年に入って約7割となっております。こうした協力をいただいた金融機関の職員、コンビニエンスストアの店員、あるいはタクシーの運転手の方もおられましたが、
 そうした方々には、感謝状をお渡しして謝意を伝えております。
 まずは騙されないようにする、仮に騙されたとしても周りの方が声を掛け、被害を発生させないといった抑止の取り組みを更に進めてまいります。
 次に、事件検挙ですが、5月末現在で、オレオレ詐欺の現金受取役や、犯罪者グループに現金受取役を紹介するリクルーターなどの実行犯を7人、銀行口座などを提供した助長犯を16人、それぞれ検挙しています。
 この種事案は、ご案内のとおりですが、いわゆる「闇バイト」で勧誘された受け子や掛け子、口座や電話を準備する者、そしてそれらを束ねる者などにより組織的に敢行されていることから、上部被疑者への突き上げ、金の流れの解明により、組織の壊滅を図ってまいります。
 県警察では、引き続き、うそ電話詐欺の撲滅に向け、抑止と検挙の両面で、実効ある取組を強力に推進し、「安全・安心な山口県」の実現に努めてまいります。

1 看護人材の確保対策について

 近年、医療業界では看護人材の不足が問題となっており、特にコロナ禍において、病院等で働く皆様の中には人手不足で忙しさを感じている方々も多いと思われる。
 看護人材の不足は、高い離職率が主な原因で、コロナ禍の影響により離職が増加したと言われており、私が運営に携わる病院でも以前より離職者が多くなったという現実も見ている。
 国は養成促進、復職支援、離職防止・定着促進を中心に対策が実施されており、本県もこれら3つの視点で充実した対策を講じているが、その中で特に力を入れるべきは、潜在看護師の復職支援と離職防止・定着促進と考える。
 復職支援には、有資格者の3割を占め即戦力となる潜在看護師が人材確保の面で切り札になる。離職防止・定着促進には、勤務環境の改善が一番の課題であり、県が開設の医療勤務環境改善支援センターの専門家による支援の充実により離職を防止し、定着率の増加につながると思う。
 看護人材確保の諸施策を進めていく上で重要なのは、県の支援が真に現場のニーズに合致しているかの分析・検証と考える。医療現場の声にしっかりと耳を傾け、より効果的な支援策を引き続き展開していっていただきたい。
 看護人材の不足はコロナ禍により更に拍車がかかっている。県では看護人材の確保対策に今後どのように取り組むのか、御所見を伺う。

答弁 部長
 看護人材の確保対策についてのお尋ねにお答えします。
 県民が生涯を通じて、健康で安心して暮らすためには、良質な看護サービスを担う看護人材の確保を図ることが重要です。
 県では、看護学生の県内就職に向けた修学資金の貸付に加え、県看護協会に設置した山口県ナースセンターにおける相談対応や職業紹介など、幅広い取組を行っているところです。
 こうした中、お示しのように、看護職員の不足は依然として解消されておらず、また、コロナ禍の影響による業務の大幅な増加に伴い、不足感が強まっていることから、看護人材の確保が喫緊の課題となっています。
 このため、県では、看護人材の確保に向けて、即戦力となる潜在看護師等の復職支援や、離職防止・定着促進の取組を、重点的に推進してまいります。
 まず、復職支援については、有資格者の約3割と推計されている潜在看護師等に対して、ナースセンターへの登録を広く呼びかけるとともに、再就業希望者に対し、最新の知識・技術を習得する研修や医療機関とのマッチングに取り組んでいるところです。
 こうした取組により、昨年度は、延べ3,481人の潜在看護師等に登録をいただき、そのうち281人を就業につなげたところであり、今後とも、更なる掘り起こし等に努めてまいります。
 次に、離職防止・定着促進については、県に設置している医療勤務環境改善支援センターにおいて、医療機関の管理者を対象に、タスクシフトやワーク・ライフ・バランスの推進に向けた研修や、社会保険労務士等による個別相談の実施など、今後ともきめ細かな支援に努めてまいります。
 特に、コロナ対応により、精神的に大きな負担や不安を抱える看護職員に対して、県看護協会と協力をして、公認心理士等による相談対応や、管理者向けのメンタルヘルス研修を行うなど、引き続き、精神的なサポートに努めることとしています。
 また、こうした看護人材の確保に向けた取組が、現場のニーズを踏まえ効果的に展開されるよう、医療関係団体等で構成する看護職員確保対策協議会において検証し、今後の施策に反映してまいります。
 県としましては、今後とも、関係団体等とより一層連携し、地域医療の充実に向けて、看護人材の確保に積極的に取り組んでまいります。

2 行政サービスの向上に向けたデータ活用の推進について

 これからのデジタル社会では、様々な分野でデータを活かして生み出されるサービスが、人々の暮らしをより豊かで便利なものとすることが期待されており、本県においても、データの利活用に積極的に取り組む必要がある。
 身近な事例としては、県警が県のカタログサイトに不審者情報等のデータを提供し、地図上でも確認できるようになった。県民の関心の高いデータでアクセス数も増加したと伺っており、データが県民の安心・安全の確保に活かされる、こうした取組を更に進めて欲しい。
 そのためにも、まずは、オープンデータ化の取組を市町と連携して着実に進め、オープンデータが、様々な課題の解決や新たな行政サービスの構築につながるよう取り組んでいただきたい。
 また、「EBPM」というデータに基づく政策立案の重要性が掲げられ久しいが、未だ取組は十分とは言えない。県民ニーズに基づく政策立案のためには、データ収集や分析が重要であり、効果的な取組を構築するためにも、県、市町のデータ活用人材をしっかりと育成いただきたい。
 県民が便利で豊かに暮らすことのできるデジタル社会を実現するためには、データを活かすことが非常に重要なテーマとなるが、県は今後、行政サービスの向上に向けたデータ活用の推進にどのように取り組むのか所見を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは、行政サービスの向上に向けたデータ活用の推進についてのお尋ねにお答えします。
 デジタル化の進展に伴い、飛躍的にその量と種類が増大しているデータを活かし、これまでにない新たな製品やサービスが次々と生み出されており、デジタル社会の実現に向けて、その礎であるデータの重要性が非常に高まっています。
 このため、私は、データの利活用の推進を「やまぐちデジタル改革」の重要な取組の一つに位置付け、そのための環境整備やデータによる課題解決に向けた取組などを展開するとともに、データ活用人材の育成も積極的に進めています。
ま ず、環境整備に向けては、行政が最大のデータ保有者であることから、その保有データを企業や市民等が自由に使えるようにする、オープンデータ化を県全体で推進するため、県がデータ形式等を定めたマニュアルを策定し、警察本部や市町等とも連携をして、オープンデータの拡充を図っています。
 また、データによる課題解決に向けては、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」において、データ分析を通じて課題を発見し、新たな行政サービス等を創出する取組を推進し、周南市のデータを活かした野犬対策等の成果が生まれており、今後もこうした取組への支援に力を入れていきます。
 さらに、本県のスマートシティの実現等も視野に入れた、データ連携による住民サービスの構築を目指す、官民連携ワークショップの開催など、データ活用による地域課題の解決や新たな価値創造を図る取組を様々な形で進めます。
 次に、データ活用人材の育成に向けては、大学との連携によるデータサイエンス専門講座など、多様な取組を実施しており、行政職員については、お示しの客観的な証拠、すなわち、データに基づき政策を企画立案する「EBPM」の実践人材の育成などに取り組んでいきます。
 具体的には、地域の現状や課題を明確化するためのデータ分析・可視化ツールの習得セミナーや、検診予約等のサービス構築に向けて、データ収集からアプリ試作までを実践的に学ぶデータアカデミーの開催など、様々な取組を進めます。
 こうした中、国においては、「デジタル田園都市国家構想」の推進にあたり、心豊かな暮らしを意味するウェルビーイングという新たな視点を重視し、その達成状況を様々なデータを用いて把握していくこととしています。
 本県もこれに即応するため、今月、ウェルビーイングへの理解を深め、多様なデータから成る評価指標の活用方法等を、第一人者から学ぶセミナーを開催し、私も講師と直接意見交換を行い、その重要性等を理解したところであり、こうした新たなデータ活用手法の導入にもしっかりと取り組んでいきます。
 私は、県民の皆様がこれまで以上に豊かさと幸せを実感することができる、そうしたデジタル社会の実現に向けて、データを活用した行政サービスの向上に積極的に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

3 食の安心・安全の確保について

 食は、私たちが健康で豊かな生活を送るうえで、必要不可欠なものであり、食べることに起因する健康被害を防ぐことは、私たちの暮らしにおいて極めて重要な課題である。 
 食品衛生法の改正により、昨年の6月から、原則として、全ての事業者に対してHACCPが義務化されたが、コロナ禍の影響もあり、導入後も運用に課題を抱える小規模事業者等への継続的な支援が必要である。
 また、消費者の立場からは、事業者や行政への信頼を確保していくことが非常に重要であり、そのためには、事業者や行政が消費者と意見交換を行うリスクコミュニケーションが欠かせないが、これについても、コロナ禍の影響を受けて思うように実施できていないと聞いている。
 現在、県では「食の安心・安全推進基本計画」の改定作業を行っているが、様々な課題を克服し、食品をより安全で安心なものとするためには、行政が消費者や事業者などと連携しながら取組を進めていかなければならない。
 そこで、県においては、食の安心・安全の確保に今後どのように取り組まれるかお伺いする。

答弁 部長
 食の安心・安全の確保についてのお尋ねにお答えします。
 食は、私たちの生命と健康の源であり、県民の食の安心・安全の確保は極めて重要です。
 このため、県では「食の安心・安全推進基本計画」に基づき、生産から消費に至る一貫した監視指導や食品検査はもとより、事業者のHACCP導入に向けた支援や、事業者・行政と消費者が相互理解を深めるリスクコミュニケーション等に取り組んできたところです。
 しかしながら、HACCPでは、工程ごとの記録が必要となることから、小規模な事業者において、効率的な業務の運用が求められており、また、リスクコミュニケーションでは、コロナ禍により、施設見学や意見交換会等が困難となるなど、様々な課題が生じています。
 こうした課題に対応するため、「やまぐち未来維新プラン」の素案において、重点施策に「食や消費生活の安心・安全の確保」を掲げ、これに合わせて、今年度中に基本計画を改定し、「食の安全」、「食の安心」、「参画と協働」の3つの基本方針により、積極的に施策を展開したいと考えています。
 具体的には、まず、食の安全については、特に、事業者によるHACCPの適切な運用を支援するため、事業規模や業態等に応じて、保健所の食品衛生監視員による実践的できめ細かな指導助言を行うとともに、オンラインでの講習会を新たに開催するなど、啓発についても強化してまいります。
 次に、食の安心については、リスクコミュニケーションを推進するため、オンラインによる施設見学や、eラーニングを用いた食品表示講習会など、コロナ禍を契機とした新たな取組を進めてまいります。
 さらに、参画と協働については、食の安心・安全の確保に社会全体で一層取り組むことができるよう、食品衛生月間における街頭キャンペーン等を通じた普及啓発の充実に努めるとともに、SNS等を活用した食の安心モニター制度を検討し、若い世代の参画を促進してまいります。
 県としては、今後とも、消費者の視点に立って、市町や事業者、関係団体等と緊密に連携しながら、食の安心・安全の確保に積極的に取り組んでまいります。

4 出生時育児休業制度創設を契機とした働き方改革の推進について

 男性の育休取得を目指す取組により2021年度の取得率は、過去最高を更新したが、女性に対しては大きな差があり、取組を加速させなければならない。
 男性の育休取得につながる新たな制度「産後パパ育休」が来月から施行され、制度の浸透を図らなければならないが、その際重要なのは、働き方を見直すきっかけ、働き方改革そのものと捉えて進めることだと考える。
 これまで、女性の働き方を視点に取組が進められることが多いが、今後は、男性の育児休業取得の促進という視点を通じ、休みにくく長時間勤務になりやすい男性を中心とする職場の働き方の見直しを行うことで、男女共に職業生活と家庭生活の両立を目指す取組が進むのではないか。
 企業の人材確保や少子化克服にもつながることから、積極的な導入に取り組む企業をより多く創出できるよう、国や関係機関とも連携し、取り組んでいただきたい。
 職場環境の整備という点では、仕事のプロセス見直しやオンラインへの移行など「新しい働き方」に向けた取組も重要であり、こうした取組もしっかり進めていただきたい。
 「産後パパ育休」制度の創設を一つの契機とし、働き方改革の取組をより一層進めることが必要と考えるが、県の所見を伺う。

答弁 部長
 出生時育児休業制度創設を契機とした働き方改革の推進についてのお尋ねにお答えします。
 少子高齢化と人口減少が進む本県においては、県民誰もがその個性と能力を十分に発揮し、男女が共に生き生きと活躍できる社会を実現することが重要です。
 このため、県では、仕事と子育ての両立に向けた環境整備が促進されるよう、関係機関とも連携しながら、企業における働き方改革に取り組んでいるところです。
 具体的には、労働局と連携し、子育て応援企業の登録拡大や模範となる企業の表彰を行うなど、子育て応援の気運を醸成するとともに、働き方改革支援センターのアドバイザーによる助言等を通じ、多様で柔軟な働き方の導入を支援しています。
 こうした中、出生時育児休業制度の施行に伴い、男性の育児休業の取得が容易になるとともに、その活用促進は企業の生産性向上や人材確保等にもつながることから、幅広い企業で働き方の見直しが進むよう取り組むこととしています。
 まず、今年度新たに人事労務担当者等を対象としたシンポジウムやセミナーを開催し、改正育児・介護休業法の制度周知や事例紹介等を通じて理解促進を図っています。
 また、専門家やアドバイザー等が企業訪問を行い、個別事情を踏まえた働き方改革の実現に向けて、課題解決や制度導入への支援を行います。
 さらに、多くの企業で取組が進むよう、男性従業員が育児休業を取得した企業に支給する奨励金の予算額を今年度から大幅に拡充したところです。
 こうした取組に加え、新たに開催するワークショップや機器導入経費の助成などにより、デジタル技術を活用した仕事のプロセスの見直しなど、新しい働き方の導入を支援していきます。
県では、出生時育児休業制度創設を契機として、関係機関と連携し、仕事と子育てを両立しやすい環境整備を促進し、働き方改革の更なる進展につなげてまいります。

5 いじめ対策について

 周南市で2016年7月に県立学校の男子高校生が自死された事案について、本年3月、御遺族と県の間で調停が成立した。また、7月には、献花が行われ、その場にいた全員がこのような事件は二度と起きてはいけない、起こしてはいけないと心に強く誓ったのではないかと思う。
 しかし、いじめに関する報道はやむことがない。
 昨年度発表された文科省の調査では、令和2年度における全国のいじめの認知件数は前年度から減少したものの、未だ52万件近い数値となっており、本県においても、特に中学・高校の認知率は全国を上回る数値となっている。
 また、県立高校の生徒がなくなるという大変痛ましい事案を受け、全県をあげて再発防止に臨まなくてはならない本県においても、新たないじめが表面化して問題となっていることは非常に残念なことであり、早期の解決を願うばかりである。
 これまでもいじめの根絶に向けて取り組んでおられるが、いじめは容易になくなるものではない。
 学校現場においては、いじめはいつでも起こりうると強く認識し、未然防止、早期発見に向けて、アンテナを高くして、子供たち1人1人にきめ細かに接していかなければいけない。
 また、いじめが起きた場合、解決に向けて早期に対応する必要があり、いじめを受けている子供はもちろんのこと、周囲の子どもや関係する子供であっても、教員等に相談等をしやすい環境を作るとともに外部の関係機関も含めて組織的に対応できる体制を整備していくことも求められている。
 県教委には、「いじめは根絶しなければならない」という強い決意の下、関係機関とも連携・協力し、不断の努力を持っていじめ対策に取り組んでいただきたいと思う。
 そこでお尋ねする。コロナ禍においてもなくなることがない、学校において取り組み続けなければならない課題であるいじめの未然防止、早期解決に向けて、県教委としてどのように取り組まれるのか、教育長の御所見を伺う。

答弁 教育長
 いじめ対策についてのお尋ねにお答えします。
 いじめは、いじめを受けた児童生徒の心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、県教委ではこれまで、未然防止・早期発見・早期対応を基本として様々な取組を進めてきたところです。
 しかしながら、依然としていじめがなくならない状況にあり、学校現場での取組の実効性をより高めていく必要があることから、教職員や子どもたちのいじめに対する意識を常に向上させる取組や、子どもたちに対する教職員の対応力を高める取組を更に強化していくこととしています。
 具体的には、教職員に対しては、職員会議等の様々な機会を通じて、いじめの認知や組織的な対応などの基本認識を繰り返し徹底するとともに、実際に県内で起きた事例を活用し、場面ごとの学校の対応の在り方について学ぶ研修等を通して、より実践的な対応力を身につけさせることとしています。
 また、子どもたちに対しても、道徳科の授業や特別活動などの時間に、いじめの問題を自分のこととして捉え、考え、議論することを通して、いじめに対して正面から向き合い、他者の気持ちに共感することができる心情を培うとともに、傍観者ではなく、いじめを仲裁したり、教職員へ相談したりする態度を育成してまいります。
 加えて、学校におけるいじめ対策は、組織的な対応が求められていることから、「学校いじめ対策委員会」において、スクールカウンセラー等外部の専門人材から助言を得たり、学校運営協議会等で地域住民など様々な立場の人から意見を聞くなど、より多くの目で見守り、検証していく体制の充実を図ることとしています。
 県教委といたしましては、「いじめは絶対に許されないものである」との認識の下、市町教委をはじめ、学校、家庭、地域、関係機関等と一体となって、いじめの未然防止や早期の解決に向けた取組をこれまで以上に強化し、いじめの根絶に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

1 介護人材の確保について

 介護人材の確保については、「2025年問題」が課題である。
 「2025年問題」では、様々な問題が起きることが予想されており、その中の1つに介護業界の人手不足が挙げられる。
 本県の高齢者プランにおける不足状況を見ると、数字的には改善が見られるが、依然として多くの不足が見込まれる。
 介護業界の人材不足は、生産年齢人口の減少が大きな要因となっているものの、他業種と比較して賃金が低いと感じている介護労働者が多いことが一番の要因である。
 また、介護業界にネガティブなイメージが定着していることも挙げられる。
 私は先月、山口県介護福祉士会が主催している「介護の日記念イベント」に出席してきた。
 そこでは、現場に関わる方々が、いかにして介護業界のネガティブイメージを払しょくし、魅力ある仕事であると伝えることができるかを真剣に議論していた。
 介護業界の人材不足は単に給料を上げることのみでは解決せず、悪いイメージを払拭していく努力の継続、そして、人材不足が県民に今後大きな影響を及ぼす問題であることを県民にも広く認識をしていただくことも重要である。
 県においても、現場の声に耳を傾け、実効性の高い人材確保対策を展開していただきたい。
 目前に迫っている「2025年問題」に対し、不足する介護人材の確保に向け、今後どのように取り組まれるのか所見を伺う。

答弁 部長
 介護人材の確保についてのお尋ねにお答えします。
 高齢化が進行し、要介護者の一層の増加が見込まれる中、質の高い介護サービスを安定的に提供していくためには、その要となる介護人材の確保が重要です。
 このため、県では、2025年を見据えて策定した「第七次やまぐち高齢者プラン」に基づき、介護職員の処遇改善の支援や、介護職の魅力の発信等を行うことにより、介護人材の確保に取り組むこととしています。
 まず、介護職員の処遇改善については、国の介護職員処遇改善加算制度等の活用により、賃金の改善が図られるよう、施設の管理者向けの研修や、実地指導等を通じて、事業者に対する制度の周知や助言に努めているところです。
 また、人材育成やキャリアに応じた処遇など、就業環境の改善に積極的に取り組む事業所を「働きやすい介護職場」として認証し、ウェブサイト等で広くPRしているところであり、介護現場の意見もお聞きしながら、引き続き、人材確保に向けた事業者の主体的な取組を促進してまいります。
 次に、介護職の魅力発信については、子どもや若者が介護職の意義を理解し、その魅力を直に感じ取れるよう、小学生親子バスツアーや中高生等を対象とした福祉の職場体験、インターンシップなど、各段階に応じた効果的なアプローチを行い、将来的な担い手の育成につなげているところです。
また、介護に対するイメージを向上させるためには、現場の声をしっかりと発信することが重要であることから、お示しの「介護の日」のイベントなど、関係団体等が主体的に企画・運営を行う情報発信の取組を、引き続き、積極的に支援してまいります。
 さらに、今年度は、介護現場に新たに就職された職員の皆さんに向けた知事からの激励や、新人職員の抱負、先輩職員からのメッセージを動画としてとりまとめ、介護関係者はもとより、広く県民の皆様にも、介護の大切さや職員の誇り、仕事のやりがいが伝わるよう、県のホームページ等で公開しています。
 県としましては、今後とも、こうした取組を通じ、市町・関係団体等と連携しながら、処遇改善の支援と介護の魅力発信に努め、介護人材の確保に積極的に取り組んでまいります。

2 薬物乱用防止に向けた普及啓発について

 全国においては、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加し、4年連続で過去最多を更新するなど、大麻乱用の拡大が顕著であり、「大麻乱用期」とも言える状況である。特に、30歳未満の大麻事犯は、大麻事犯全体の65%以上を占めており、若年層における乱用拡大が懸念され、より一層の普及啓発活動の推進が必要である。
 若年層への啓発等の機会を積極的に増やしていくことが最も重要であると大人が認識し、子供たちが薬物に手を出さない環境を社会全体として作っていくことが最も重要である。
 また、SNSを通じた大麻乱用に対する予防策についてもしっかりと講じていく必要がある。
 若年層へ対する薬物乱用防止に向けた普及啓発について、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、薬物乱用防止に向けた普及啓発についてのお尋ねにお答えします。
 大麻を含む薬物の乱用は、乱用者自身の精神や身体上の問題にとどまらず、各種犯罪を誘発し、社会全体の問題へと発展するものであり、その防止対策の充実を図っていくことは重要です。
 このため、県では、国・県・関係団体で構成する山口県薬物乱用対策推進本部を設置し、啓発活動と取締の両面から総合的な対策を実施しているところです。
 こうした中、県内での違法薬物による検挙者数は減少傾向にあるものの、大麻については、「有害性がない」などの誤った情報がインターネット上で広がっており、SNSを通じて入手した若年層の検挙者数は、近年急増しています。
 大麻は、覚醒剤等、より有害な薬物を使用するきっかけとなりやすいことから、大麻の入手を抑止することは、違法薬物乱用者全体の減少につながるものと考えています。
こ のため、県では、SNSを利用した大麻の入手に歯止めがかかるよう、今年度新たに「STOP!大麻!」対策強化事業を開始し、若年層の利用が多いツイッターを活用しながら、違法性を強く訴える警告動画を配信しています。
 また、若年層に対する普及啓発の推進については、小・中・高校生を対象に、「薬物乱用ダメ。ゼッタイ。教室」を開催し、薬物の恐ろしさなどを伝えているところですが、今後は大麻の違法性や有害性の啓発に力を入れるなど、内容の充実を図ってまいります。
 さらに、今年度、大麻に関する意識等の実態を把握するため、県民を対象としたアンケート調査を実施しており、その結果を警察や学校関係者等で構成する検討会議において分析をし、今後のより一層の普及啓発に活かしていくこととしています。
 県としましては、今後とも関係機関等と緊密な連携の下、薬物乱用防止対策に積極的に取り組んでまいります。

3 萩保健医療圏における中核病院の形成について

 萩市では、前市長の下で、県との連携により、萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院の形成に向けた検討が進められてきたが、新市長が市独自にゼロベースで見直すとしたため、地域住民の安心・安全の確保に大きな影響が生じるのではとの懸念から、6月定例会で取り上げた。
 任意の協議会で検討が進められたが、2病院の統合以外に提案はなく、中核病院形成に向け議論を進めるべきとの報告書が取りまとめられた。結果として、半年以上の貴重な時間を費やして独自の検討をした挙句、前市長の下で進められていた方針に立ち戻ったことに他ならない。
 萩市の迷走を打開するため、我が会派の地元議員が、崩れかけた信頼関係を取り戻すべく、市長を同行し議長と知事に中核病院形成に向けた支援を要望したと聞いている。
 翌日、萩市長は、2病院統合による中核病院形成に向けて検討を進めていくことを市の方針として正式に表明した。その中で、「検討が中断したことにより、不安を感じた皆様には申し訳なく思う」と時間を費やしたことへの反省の弁を述べる一方で、「私自身、地域医療の現状と課題等の理解を深められた」と検討中断期間の意義を強調された。
 今後は、正常化に向けて進むであろう事に安堵しているが、ひっ迫している地域の医療提供体制の整備に充てるべき貴重な時間を、自身の理解を深めるために充てたことに意義があったと言うことには、疑問を感じざるを得ない。
 いずれにしても、中核病院の形成には一刻の猶予もない。時計の針は戻せないが、今後は、前市長時代に十分に議論された成果を継承しながら、地域の将来のあるべき医療提供体制の実現に向け、着実に歩みを進めなければならない。
 そこで、萩保健医療圏における中核病院形成については、地元と県の信頼関係があって、はじめて事業を進めることができると考えるが、知事は、このたびの萩市長の方針表明をどう受け止め、今後、どう取り組むのか、改めて見解を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは萩保健医療圏における中核病院の形成についてのお尋ねにお答えします。
 私は、高齢化の進行に伴う医療需要の増大に対応し、県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、より効率的で、質の高い医療提供体制を確保することが重要であると考えています。
 このため、県では、医療圏ごとの現状や課題、将来に必要とされる医療機能等を見据え、医療提供体制の将来のあるべき姿を示す地域医療構想を策定し、その実現に向けて取組を進めているところです。
 萩医療圏においては、医療機関や住民の代表者等が参画する地域医療構想調整会議において協議され、令和2年1月に、萩市民病院と都志見病院とを統合し、中核病院を形成することが、地域医療構想を推進する重要な方向性として打ち出されています。
 県としては、萩医療圏の課題とされる二次救急医療等に対応するためには、調整会議での方針に基づき、2病院の統合による中核病院の形成が必要であると考えており、その推進に向け、国の手厚い財政的支援等が受けられる重点支援区域の選定や、萩市への県職員の派遣など、必要な支援を行ってまいりました。
 こうした中、萩市では、お示しのとおり、これまでの方針をゼロベースで見直すこととし、独自に設置した中核病院協議会における議論を踏まえ、このたび、萩市長が、2病院の統合による中核病院の形成に向けて検討を進めていくことを表明されたところです。
 私は、このたび示された方針は、前市長の下ですでに骨格をまとめ、調整会議で合意された方向性に沿ったものであり、本来あるべき方向性が示されたものと受け止めています。
 また、この間、中核病院の形成に関する議論が中断し、地域の医療提供体制の整備に遅れが生じることを懸念していましたが、今後は、調整会議における議論を活性化し、中核病院の形成に向けた動きを加速していくことができるものと考えています。
 さらに、先般、地元県議会議員から、地域の現状を踏まえ、中核病院の形成を進めていくために必要な支援に関し、切実な要望をいただいたところです。
 私は、いただいた要望を真摯に受け止め、今後、国との調整をはじめ、人的、技術的支援や財政支援等について、県議会の御意見等をしっかりと伺いながら検討してまいります。
 私は、地域の医療提供体制を確保するため、調整会議において議論を深め、国や市等との緊密な連携を図りながら、萩保健医療圏における中核病院の形成に向けた取組を推進してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

4 eスポーツの普及促進について

 コロナの時代にあってもeスポーツはオンライン交流という大義名分の下で、様々な市場・産業への経済効果が生み出されている。こうした経済効果だけでなく、普及啓発を進めていくことで、現在ある様々な分野の課題解決に向けて大きなヒントにつながるとも考える。
 eスポーツは、年齢、性別・国籍・障がい等の垣根を超えたダイバーシティ時代の新スポーツであると言える。
 また、近年、eスポーツは実際のスポーツとしても認知されはじめており、東京オリンピックに合わせて、野球などの5競技に係る国際大会を開催するなど、リアルの代わりとなるeスポーツが形作られようとしている。
 重要なのは、eスポーツは所詮ゲームに過ぎないという古い認識を捨て、新時代のスポーツとして、世界の潮流に乗り遅れることなく取組を進めていくことである。
 コロナ禍で中断した本県の取組を仕切り直す必要があり、様々な可能性を持つeスポーツの普及促進に向けて、県としてどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 eスポーツの普及促進についてのお尋ねにお答えします。
 eスポーツは、オンラインを活用した対戦形式のコンピューターゲームのことであり、野球やサッカーなどのバーチャルスポーツのほか、シューティングや格闘など、様々なジャンルの大会が国内外で開催されており、その認知度が高まっています。
 このうちバーチャルスポーツは、実在の競技を題材とするもので、スポーツ性が高く、スポーツ活動の裾野拡大や本県への誘客促進が期待できることから、県として、スポーツ振興施策と連携しながら、その普及促進に取り組んでいるところです。
 具体的には、これまで、レノファ山口のホームゲーム会場において、プロのeスポーツ選手によるエキシビジョンマッチや体験会を開催してきたところであり、今後、レノファ山口の観客の増加にもつながるよう、こうした取組を再開し、eスポーツへの一層の理解促進を図ってまいります。
 また、本県の観光地や実在のルートを再現したバーチャル空間でサイクリングを楽しめる機材を活用しながら、「サイクル県やまぐち」のPRや、観光プロモーションなどの取組を実施することにより、eスポーツの普及につなげていきたいと考えています。
 さらに、今後、県内各地で開催される様々なスポーツイベントへのeスポーツ関係団体の参加が促進されるよう、市町等に対して働きかけを行い、県民の理解促進や機運醸成につなげていくこととしています。
 県としては、市町や関係団体と連携しながら、スポーツの裾野を広げ、交流人口の拡大につながるeスポーツの普及促進に取り組んでまいります。

5 特定鳥獣の保護管理について

 山口県は、多様な動物が生息する豊かな自然を有している一方で、イノシシやニホンジカ、ニホンザルなど一部の野生鳥獣によって、農林業者が多くの被害を受けており、生産意欲の低下など深刻な影響をもたらしている。
 中でもニホンジカについては、重点的に捕獲に取り組んでいるにもかかわらず、被害額は下げ止まっており、さらなる取組の強化が望まれる。
 また、ツキノワグマは県東部以外でも目撃情報があり、生息数に加え生息域の拡大も懸念される。
 こうした中、県では、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザル等については第二種特定鳥獣管理計画を策定して生息数の調整に取り組み、ツキノワグマついては、第一種特定鳥獣保護計画を策定して保護を図っている。
 これらの計画は本年度が最終年となっており、次期計画策定に向けた準備を行っていると伺っているが、農林業被害など、野生鳥獣による県民生活への影響を最小限に留め、県民の安心で安全な暮らしを確保することが重要である。
 そこで、次期計画の策定に当たってニホンジカやツキノワグマなどの特定鳥獣の保護管理にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 特定鳥獣の保護管理についてのお尋ねにお答えします。
 県では、野生鳥獣による農林業被害に対し、防護と捕獲の両面から対策に取り組んでおり、イノシシ、ニホンザル、ニホンジカなど、生息数の著しい増加等により深刻な被害をもたらす鳥獣について、管理計画を策定しています。
 管理計画では、適正な生息数や生息域に縮小させるため、年間捕獲目標頭数等を設定し、市町や猟友会と連携しながら、計画的な捕獲等を推進しているところです。
 これらの結果、イノシシとニホンザルによる農林業被害額は、平成27年度の3億5千万円から、昨年度は2億5千万円に減少しており、一定の成果が見られます。
 一方、ニホンジカによる被害額は、平成27年度以降、9千万円前後で推移しており、また、生息頭数も令和2年度末で、過去最高となる2万6千頭と推計されることから、次期計画においては、年間捕獲目標頭数を現行計画の5千2百頭から大幅に引き上げたいと考えています。
 このため、県のシカ捕獲事業を引き続き実施するとともに、主要な生息地である下関市、長門市全域で現在規制している「くくりわな」を使用できるようにし、捕獲の強化を図ることとしています。
 また、山口県、島根県、広島県の3県共同で保護計画を策定し、保護に努めてきたツキノワグマについては、昨年度行った生息状況調査において、個体群を維持するために必要な8百頭を上回る約千3百頭と推定され、生息域も拡大しているという結果になりました。
 この結果を踏まえ、次期計画においては、保護計画から管理計画に変更し、個体群の安定的な維持を前提に、現状の生息域を拡大させないこと、及び人身被害ゼロを目標とすることとしています。
 このため、居住地や農耕地等、人の生活に関わる地域や、これまでクマが生息していなかった地域で、被害防止を目的とした捕獲を実施するとともに、クマを引き寄せる原因となる、放置された柿や栗などの除去の徹底等を呼び掛けてまいります。
 県としては、今後とも、特定鳥獣による農林業被害等の低減を図り、県民の安心で安全な暮らしを確保するため、市町や猟友会などの関係団体と連携し、野生鳥獣の適正な管理に取り組んでまいります。

6 不登校児童・生徒への対応について

 本年10月の文部科学省の発表によると、小・中学生の不登校は8年連続で増加、1966年度の統計開始以降、過去最多となった。
 この不登校が増加した背景には「新型コロナウイルスの感染拡大」が影響していることは言うまでもなく、これまでとは大きく変わった学校生活を送ることで我慢を強いられた子ども達への影響は計り知れないと思われる。
 ある専門家によると不登校の増加の背景には「生きづらさ」が低年齢化していると指摘されている。学校生活の中での人間関係やその他複合的な要因が重なり合い、このような子どもたちが増えているとのことである。
 小・中学生の不登校児童生徒が増加の一途を見せている中においては、各市町の教育委員会、教職員、更には民間とも連携をして、各家庭、児童生徒の状況に応じて柔軟に対応できる居場所づくりの取組が広がるよう考えるべきではないか。また、スクールカウンセラー等による相談体制の充実を図ることや、他人に助けを求めることの重要性を学ぶ機会を親や子どもたちに提供することも重要である。居場所をつくること、現場での子どもたちのサインを受け止める側の体制を早急に実現してほしいと考える。
 そこで、お尋ねする。増加の一途を見せている不登校児童・生徒への対応について、県教委は今後どのように取り組まれるか、教育長の御所見を伺う。

答弁 教育長
 不登校児童生徒への対応についてのお尋ねにお答えします。
 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化などにより、児童生徒を取り巻く家庭・地域社会の在り方が大きく変容しており、不登校の要因や背景もますます多様化・複雑化しています。
 このような中、不登校児童生徒に効果的な支援を行うためには、不登校の要因や背景を的確に把握するとともに、児童生徒に寄り添った対応をすることが重要です。
 このため、県教委では、学校以外の場所を含めた、一人ひとりの状況に応じた居場所づくりや、様々な課題を抱えた児童生徒の不安や悩みなどに対応できる多様な教育相談体制の整備に取り組んでいます。
 具体的には、まず、子どもたちの居場所づくりに向けて、お示しの下松市の事例のように、各市町教委において教育支援センターを設置するなどして、体験活動・教育相談等、児童生徒の社会的自立や学校復帰を目指し、個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っています。
 また、県教委においては、このような市町教委の取組を支援するとともに、今年度新たに、「不登校児童生徒支援協議会」を設置し、各市町教委と、不登校の実情や支援に関するニーズ・方策等についての情報共有を行い、フリースクールなどの民間施設等との連携による支援体制の構築に向けて検討しているところです。
 次に、子どもたちのサインを受け止める多様な教育相談体制の整備については、各学校において、教員による積極的な声掛けや教育相談、定期的なアンケートの実施に基づく個別支援に取り組むとともに、子どもたちが他人に助けを求めることの重要性を学ぶ「SOSの出し方に関する教育」にも取り組んでいます。
 また、県教委では、24時間対応のSOSダイヤルや、SNS等を活用した「悩み連絡室@やまぐち」に加えて、今年度から、一人一台タブレット端末を活用した、オンラインによる相談・カウンセリング体制を整備するなど、多様な方法により児童生徒の悩みを把握し、関係機関等と連携して問題の早期解決に努めているところです。
 県教委といたしましては、様々な悩みを抱える子どもたちの相談を幅広く受け止め、子どもたちに安心できる居場所を提供できるよう、今後とも、市町教委や関係機関と連携し、不登校児童生徒に対する支援の一層の充実に努めてまいります。

1 コロナ禍における県民の健康づくりについて

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、不要不急の外出や三密の回避等、「新しい生活様式」が定着してきた。
 しかし、外出控えにより体を動かす機会が減少し、人との交流が少なくなり、「フレイル」が問題視されている。
 これまでの自粛生活の影響から高齢者の体力、気力の低下から、一気に「フレイル」が進む人が増加していると言われており、高齢者に限らず生活習慣病への悪影響もあることから、「コロナフレイル」として注目され、本県においても「コロナフレイル」への対策は、新たな喫緊の課題と言える。
 「コロナフレイル」対策も加味した県民の健康づくりのための新たな事業展開が求められている。コロナ禍の収束を待たず、むしろ迎え撃つ覚悟で県民の健康づくりを後押ししていかなければならない。
 既にフレイルの状態にあっても、ちょっとした運動や必要な栄養をしっかりとるなどの健康づくりを続けることでフレイルを予防できる。それらを踏まえ、県は、各市町や関係団体と連携しつつコロナフレイル対策を加味した県民の健康づくりに向けた取り組みを強化してほしい。
 そこで、県民が生涯を通じていきいきと暮らし元気に活躍するために、コロナ禍における健康づくり対策について、県の今後の取組を伺う。

答弁 部長
 まず、コロナ禍における県民の健康づくりについてのお尋ねにお答えします。
フレイル状態になる方の増加が懸念されるコロナ禍にあって、健康寿命の延伸を図るためには、十分な感染予防対策のもとで、健康づくりの取組を推進していくことが重要です。
 このため、今年度、「新しい生活様式」における県民の健康づくり対策の充実に向け、フレイル対策の3つの柱である「運動」、「栄養」、そして人との交流を目的とする「社会参加」について、市町や関係団体と連携をし、取組を進めていくこととしています。
 まず、「運動」については、自宅などでも無理なくできる簡単なストレッチなどの動画や、県内の身近な観光地巡りなどを楽しむウオーキングコースを、「やまぐち健幸アプリ」に追加し、その機能の拡充を図り、気軽に継続して運動に取り組む機運を高めてまいります。
 また、「栄養」については、コロナ禍において、外出控えが、買い物機会の減少による食生活の偏りにつながっていることから、県食生活改善推進協議会と連携をし、栄養バランスを見直す講習会を市町単位で開催するなど、健康的な食生活の維持に向けた取組を進めてまいります。
 さらに、高齢期になっても地域の仲間とともに楽しく継続して健康づくりができるよう、身近な「通いの場」を活用し、県歯科医師会や市町と連携をして、コロナ禍で機能低下が危惧される口腔の健康をテーマにした介護予防教室を開催するなど、社会参加を促す取組も推進してまいります。
 県としましては、今後とも市町や関係団体と緊密に連携をしながら、コロナ禍における県民の主体的な健康づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。

2 若者の自殺対策について

 厚労省によると、2020年の全国の自殺者数は前年より912人増の21,081人であり、10年連続で減少していたが、11年ぶりに前年を上回り、人口10万人当たりの自殺者数も増え16.7人となった。
 このうち男性は11年連続で減少したが、女性は935人と大幅に増え、小中高生も499人と統計のある1980年以来最多を記録している。
 本県も、自殺者数は減少傾向にあったが、昨年は一昨年に比べ23人増の223人となり、29歳以下の若年層は昨年32人で、一昨年の13人から約2.5倍と大きく増加し、今年1月以降も前年を上回っている。
 本県では、自殺対策を着実に実施し、自殺者数の減少に効果が表れたが、コロナ禍で学校活動や地域行事の自粛、友人との共通体験・交流機会の減少など、孤独・孤立の状況に陥り、若い世代の自殺の増加が目立っている。
 関係団体と一層連携し、特に若年層にターゲットを絞った対応が必要である中、県が補正予算で若者の自殺対策に取り組むことは評価するが、取組を始めたことをゴールとせず、変化する時代に合った取組にしていくことが必要である。
 殺を社会問題として、県民が認識し、一人一人が気に掛け、「一人でも多くの命を救う」という意識を社会全体で共有しながら、追い詰められつつある人が支援を求めやすい環境づくりを進めることが非常に重要である。
増 加傾向にある若者の自殺対策について、今後どのように展開していくのか、伺う。

答弁 部長
 次に、若者の自殺対策についてのお尋ねにお答えします。
 自殺を未然に防ぐためには、県民の一人一人が自殺を社会問題と認識し、周囲の人間の些細な変化に気づき、「一人でも多くの命を救う」という意識を社会全体で共有をし、悩みを抱えている人が支援を求めやすい環境づくりを進めることが重要です。
 県では、このような観点から、平成30年に策定した自殺総合対策計画に基づき、市町や関係団体等と連携をし、県民への正しい知識の普及、相談支援を行う人材の養成、ハイリスク者への支援などに取り組んでいるところです。
 こうした中、お示しのように、令和2年には、特に、若者の自殺が大幅に増加したことから、県では、今後、若者への対策を重点的に進めていく必要があると考えています。
 このため、まず、若者に対する相談体制の強化を図るため、従来の面接や電話に加え、日常的なコミュニケーションツールとして利用するLINEによる相談体制を今月中にスタートさせ、相談の選択肢を拡充することとしています。
 また、「自殺方法」「死にたい」など、自殺に関わるワードをスマートフォンで検索入力した際、AIを活用し、自動的に、県内の相談先や自殺防止メッセージを表示する仕組みを構築することで、相談支援に繋げ、自殺の未然防止に努めてまいります。
 さらに、今年度、ゲートキーパーの支援力を向上させる研修を実施するとともに、一般県民を対象とした自殺対策フォーラムを開催し、悩みを抱える若者への対処方法の普及や、社会全体で若者を支える気運の醸成に努めていきたいと考えています。
 県としては、今後とも、若者の自殺を県民全体の問題としてとらえ、市町、関係団体等とも連携をし、自殺防止対策に積極的に取り組んでまいります。

3 犯罪被害者等への支援について

 犯罪被害者等は、犯罪による直接的な被害に加え、周囲の配慮に欠ける言動やSNSによる誹謗中傷を受けて、転居や退職を余儀なくされるなど、事件が解決した後も、二次的な問題を抱えている。
 こうした現状を踏まえ、県は、本年3月、「山口県犯罪被害者等支援条例」を制定し、転居費用の助成制度を創設するなどの支援を推進しており、その取組は高く評価できる。 
 現在、具体的な支援策を盛り込んだ「犯罪被害者等支援推進計画」について、検討を進めていると伺っている。
 犯罪被害者等の支援には、県による取組の充実はもとより、地域の実情に即した市町の取組や、犯罪被害者等の状況に応じてきめ細やかな支援を提供できる民間支援団体の活動の充実が不可欠と考える。
 県民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、県は、今後、犯罪被害者等への支援について、どのように取り組んでいくのか、伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問にお答えします。まず、犯罪被害者等への支援についてです。
 犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、その後の二次的な被害に苦しめられることも多く、被害者等が社会で孤立することなく、安心して暮らすことができるように支援していくことは大変重要です。
 このため、私は、本年3月に制定した「犯罪被害者等支援条例」に、被害者等の権利利益の保護と、誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の実現を柱として掲げ、被害者等の支援に取り組むこととしました。
 条例の施行に合わせて4月には、被害者等の切実な声を受けて、「転居費用助成制度」を創設し、犯罪により転居を余儀なくされた方の経済的負担の軽減や、安全の確保を図るための支援を開始したところです。
 現在、条例の規定に基づき具体的な支援策等を盛り込んだ「犯罪被害者等支援推進計画」の策定を進めており、今後、この計画に沿って、お示しの市町との連携強化や、きめ細かな支援を行っている民間支援団体の活動支援などに取り組むこととしています。
 まず、市町との連携強化については、新たに設置する協議会において、県民にとって最も身近な行政機関である市町と緊密な情報共有を図る中で、各市町の福祉制度や、県営住宅における優先入居制度等の効果的な運用に取り組み、被害者等の状況に応じた適切な支援を行ってまいります。
 また、本県独自に設けた「犯罪被害理解促進期間」において、市町と連携した重点的な広報啓発活動を行うとともに、県内各地でパネル展を行うなど、県民の被害者等支援に関する意識を高めていきます。
 次に、民間支援団体への支援については、その活動を活性化するため、被害者等支援に関する広報啓発素材を提供するほか、被害者等の思いを伝えるイベントや新たな支援員を養成するための研修会を共同開催することとしています。
 こうした取組に併せて、様々な相談や要望にワンストップで対応できる体制を強化し、県や市町、民間支援団体等をつなぐ支援の輪を作り、被害者等が被害を受けた時から安心して暮らせるようになるまで、一人ひとりに寄り添いながら、途切れのない支援の提供に努めてまいります。
 私は、今後とも、市町や関係機関等と一体となって、県民が安心して暮らすことができる地域社会の実現に向け、被害者等支援に全力で取り組んでまいります。

4 農業の持続的な発展について

 昨年は、トビイロウンカが大量発生し、本県の作況指数は全国最低の73となり、昭和23年の調査開始以降、最悪の不作となった。
 県では、農家の皆さんが営農を継続できるよう、今年度の作付けを後押しする支援策を展開され、現在、作付けが順調に進んでいるが、今年もトビイロウンカの本格的な飛来時期が近づいてきている。
 専門家の話では、トビイロウンカの飛来を防ぐことや被害を及ぼすほど増殖したウンカを減少させることは困難で、いかに正確な飛来を把握し、迅速に対策を行っていけるかが重要だと指摘されている。
県には、昨年度のような被害を絶対に出さないという覚悟を持ち、関係機関と連携しながら、生産者に寄り添った、きめ細かな対応を行っていただきたい。
そこで尋ねる。水稲が農業経営の基幹作物となっている本県において、トビイロウンカによる被害を抑え、稲作経営を安定させることが重要と考えるが、県として今後、農業の持続的な発展に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺う。

答弁 知事
 次に、農業の持続的な発展についてのお尋ねにお答えします。
 耕地面積の8割を水田が占め、稲作による小規模経営が中心の本県農業を持続的に発展させるためには、法人経営体を核とした生産構造への転換を進めながら、経営の基幹作物である水稲の生産安定を図ることが重要です。
 このため、私は、集落営農法人等の育成を最重点課題に位置付けるとともに、スマート農業の導入による効率的な生産体制の下での作付拡大や、安定生産に結び付く病害虫対策に積極的に取り組んでいるところです。
 こうした中、昨年、トビイロウンカの異常発生により、水稲が甚大な被害を受けたことから、緊急的な補正予算により、JAや市町と連携して種子代助成を行うなど、農業者に営農を継続していただけるように支援してまいりました。
 この関係機関一体となった支援により、本年の作付けが順調に進んでいることから、私は、農業者が今後も安心して生産に取り組み、作付拡大に向けた流れを加速できるよう、当面の防除対策を強化するとともに、持続的な安定経営に繋がる、長期的な視点での技術対策も進めることとしています。
 まず、当面の防除対策の強化については、早期発見による適期防除ができるよう、病害虫防除所が行う調査の開始時期を早め、各地域での調査地点や回数を増やしたところであり、今後、発生状況に応じた技術情報を速やかに発出します。
 また、こうした情報が農業者に確実に伝わるよう、SNSの活用等に加え、新たに、農薬を取り扱っている県内約200店舗のホームセンター等にチラシを掲示するなど、JAや市町等と連携し、きめ細かな情報発信を行います。
 次に、長期的な視点での技術対策については、昨年度のような大量飛来があっても被害を確実に抑えられるよう、国の研究機関等と連携し、全国に先駆けて、本県が独自に開発を進めてきた長期予測技術の精度を高め、適期に低コストで防除できる仕組みを構築します。
 私は、昨年度のような病害虫による被害を繰り返さないという強い覚悟を持って、農業者が今後も安定的な稲作経営を継続できるよう、市町や農業団体と緊密に連携し、本県農業の持続的な発展に全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

5 萩医療圏における中核病院形成を巡る県の現状認識と今後の対応について

 今議会で、取り上げられ問題提起された、中核病院を巡る動きや山陰道等の道路整備、商工会議所に関する対応等は、これまで関係者が努力して積み上げてきたものを一方的に覆すもので、市民・県民生活への影響が懸念される。
萩 医療圏における萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院形成の問題は、避けて通れない最重要課題だ。2病院を統合して中核病院形成に向けて検討を進めることは、地域医療構想を推進する上で中核を担う地域医療構想調整会議において、議論された上で出された方向性だ。
 しかし、新市長は、任意の検討組織を独自に設置し、その中で、ゼロベースで見直すとしている。調整会議での議論を踏まえて示された方向性に基づく取組を、前市長が決定したものだからと反故にし、病床数等は調整会議に諮るが、最終的には市が方針決定するとのことだ。これは、現行制度上、地域医療構想の基本的理念を根底から覆しかねず、単なる政治的パフォーマンスと思わざるを得ない。
 こうした進め方では、これまでと180度異なる方向性が示される可能性やあるべき医療提供体制に係る議論が停滞する恐れがあり、地域住民へ与える不安は極めて大きい。
そ こで、こうした状況の中、また、市との連携が図りづらい中で、県は、萩医療圏における中核病院形成について、どう認識し、どう対応するのか、改めて見解を伺う。

答弁 部長
 次に、萩医療圏における中核病院形成を巡る県の現状認識と今後の対応についてのお尋ねにお答えします。
 県民が生涯を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療提供体制の構築が重要です。
 このため、県では、8つの医療圏域ごとの実情に応じて、医療提供体制の将来のあるべき姿を示す「地域医療構想」を策定し、その実現に向けて取組を進めているところです。
 お示しのように、萩医療圏においては、医療機関や住民の代表者等が参画する地域医療構想調整会議において協議され、萩市民病院と都志見病院とを統合し、中核病院を形成することが、地域医療構想を推進する重要な方向性として打ち出されたところです。
 この方針に基づき、県では、国から手厚い財政的支援等が受けられるよう、調整会議に諮った上で、重点支援区域の選定について、国へ申請を行うとともに、萩市へ県職員を派遣するなど、必要な支援を行ってきました。
 こうした中、今般、萩市においては、お示しのとおり、任意の検討組織を独自に設置し、その中で、これまでの方針をゼロベースで見直すこととしており、これは、地域の医療需要等を勘案して策定した地域医療構想に基づくこれまでの取組を否定することにつながり、ひいては、地域住民に不安を与えかねないものと懸念しています。
 また、萩市が設置するこの検討組織は、調整会議で得られた方針に基づくものではなく、設置も含め、県としては承知していないところであり、その検討の如何に関わらず、基本的な方向性等は、医療法に基づき、調整会議において、協議される必要があるものと認識しています。
 県としましては、地域医療構想の実現に向けては、あくまで、医療法で定められた調整会議での方針に基づき推進していくべきものと考えており、この枠組みの下で対応し、萩医療圏における医療提供体制の整備に向け、取り組んでまいります。

6 商工会議所に係る市長発言と公的支援について

 中小企業・小規模事業者は、困難な状況が続く中、コロナ禍を契機とする消費行動の変化やデジタル化等への対応が求められている。こうした大きな変化に対応するうえでは、経営者をしっかりと相談・サポートする身近な存在である商工会・商工会議所の重要性が増していると考える。
 しかしながら、田中萩市長は「会頭が国会議員の後援会長を務めている萩商工会議所の体制の問題が整理されない場合、同商工会議所への補助金支援を行わないことになり得るかもしれない」と、耳を疑うような発言をされたとのことである。
 今回の萩市長の商工会議所に対する圧力発言によって、市と商工会議所の間に生じたわだかまりのようなものが、今後の商工会議所の運営や中小企業・小規模事業者への経営支援に支障を来すことがないのか懸念している。
 そこで尋ねる。商工会議所は公的経済団体であり、中小企業・小規模事業者の振興のためにも、県や市から会議所への継続的な財政支援や緊密な連携による事業者支援が必要と考えるが、県の所見を伺う。

答弁 部長
 商工会議所に係る市長発言と公的支援についてのお尋ねにお答えします。
 商工会議所・商工会は、地域の中小企業・小規模事業者にとって最も身近な支援機関であり、地域経済の活性化を図っていく上で大きな役割を果たしています。
 このため、県では、中小企業・小規模事業者の支援に向け、商工会議所等に対し、窓口相談・巡回指導等を行う経営指導員の配置や、創業や事業承継の支援などに要する経費について、補助金を交付しています。
 こうした中、お示しのとおり、長期化するコロナ禍で苦境に立たされている事業者へのきめ細かな経営支援や、デジタル化への対応が求められるなど、商工会議所等の重要性はますます高まってきています。
 このため、県では、事業継続やデジタル化などを図るための専門家派遣制度の拡充や、落ち込んだ消費需要の拡大に向けたイベント開催への助成など、商工会議所等への支援の充実を図ることとしています。   
 一方、市町においては、令和元年の法改正により、事業者への伴走型支援を行う計画と事業者の防災・減災対策を支援する計画を商工会議所等と共同で策定することとなり、その役割は強化されています。   
 各市町においては、計画の策定やその円滑な運用等について、商工会議所等との連携をさらに緊密にされるとともに、必要に応じ、商工会議所等への支援を行い、協力して地域の事業者の振興に取り組んでいただきたいと考えています。
 県としては、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の継続的な発展のため、今後とも、商工会議所等の機能強化を図りながら、市町や商工会議所等と緊密に連携した事業者支援に取り組んでまいります。

1 中小企業の成長支援について

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、本県経済に大きな打撃を与えており、ポストコロナを見据え、企業活動の活性化を図り、県内中小企業が力強く成長していくための支援が不可欠である。
 新型コロナウイルス感染が再び猛威を振るう中、製造業も厳しい状況に立たされている。本県において製造業は地域経済と雇用を支える基幹産業であり、本県経済の発展に向けては、ものづくり技術や強みを活かして、新たな付加価値の創出や生産性向上を図る取組への支援が重要になる。
 また、デジタルトランスフォーメーションの推進も不可欠であり、劇的な環境変化に取り残されずに競争力を維持していくためには、スピード感を持った取組が求められている。
 さらに、「新しい生活様式」への対応を踏まえて、非対面・無人化のニーズが急増し、DXの推進は避けて通れない。
 私は、コロナ禍を契機として求められるDXや「新しい生活様式」への対応、自社の強みを活かした新たな取組を後押しすることで、企業の成長を促し、ポストコロナ時代の強い産業づくりを進めていただきたいと思う。
 県では、本県経済の発展に向け、今後、中小企業の成長支援にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは、中小企業の成長支援についてのお尋ねにお答えします。
 新型コロナウイルス感染症による、本県経済への影響の長期化が予想され、早い段階から影響を受けていた飲食などのサービス業のみならず、本県経済を牽引する、ものづくり企業においても先行きへの懸念が広がっています。
 私は、こうした懸念を払拭し、本県経済の発展を図るためには、ものづくり企業の経営をしっかりと下支えするとともに、コロナ禍を契機とした社会変革の動きを的確に捉え、新たな付加価値を創出することが極めて重要と考えています。
 このため、企業経営の下支えとして、県制度融資を拡充するとともに、新しい生活様式に対応した事業環境の整備や新製品開発等の取組を「中小企業再始動支援事業」により後押しをするなど、事業活動の継続・発展を支援してきました。
 さらに、感染症拡大の影響により工場の稼働率や売り上げが減少した、ものづくり企業に対し、経営資源を有効に活用しながら、自社の強みを活かした新事業展開による販路拡大への取組を支援することとしています。
 また、新たな付加価値の創出については、国における、社会全体のデジタル化推進の動きに呼応し、企業活動におけるデジタルトランスフォーメーションの加速化に取り組んでいきます。
 まず、IoT技術の活用により、県産業技術センターに設置されている、中四国・九州でトップレベルの3Dプリンターなど関連機器のリモート利用を見据えた取組を促進することなどにより、ものづくり企業のデジタル化を推進します。
 また、企業が独自にネットワークを構築できるローカル5Gや、AI等の未来技術を活用した、先導的事例となる「やまぐちスマートファクトリーモデル」の創出に向けた実証実験も進めています。
 私は、国の政策にも呼応しながら、「ポストコロナ時代」を見据えたイノベーションの創出加速化により、県内中小企業の成長と本県経済の発展に向けて、全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

2 スポーツを通じた地域の活性化について

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、様々な大会が中止や延期されるという、異例の事態となった。
 レノファ山口の試合の他、多くの集客が見込める、サイクル県やまぐちのシンボルイベントなど、様々なスポーツイベントの中止、延期などが続いたため、本県の交流人口は減少し、地域経済に大きな打撃を与えている。
 こうした状況を打破し、ウィズコロナの時代における地域活性化を図っていく一つの手段として、スポーツの役割は、極めて大きく、地域資源とスポーツを掛け合わせたスポーツツーリズムの取組が有効であると考える。
 本県には、豊かな自然資源などがあり、これを活用したマリンスポーツや登山など、地域のインフラの特性等を最大限に活用できるスポーツを資源とし、新たな魅力を創出することにより、県内外から多くの誘客を図り、地域の活性化に寄与していかねばならないと考える。
 コロナウイルス感染症対策の必要性も踏まえ、県として、交流人口の拡大に向けて、今後、スポーツを通じた地域活性化にどのように取り組んでいくのか、伺う。

答弁 部長
 スポーツを通じた地域の活性化についてのお尋ねにお答えします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外出自粛やイベントの中止・延期等により人々の交流が縮小する中、地域の活性化を図っていくためには、スポーツの持つ多様な力を活用した交流人口の拡大を図ることが必要と考えています。
 このため、県としては、スポーツイベント等を活用した交流の促進を図るとともに、本県の豊かな地域資源を活かしたスポーツツーリズムの推進に取り組むこととしています。
 まず、イベント等を活用した交流の促進については、県内トップスポーツチームであるレノファ山口や、アクト西京等と連携し、感染状況を見ながら、ホームゲームにおける選手との交流や観光PRの実施などを検討してまいります。
 また、「東京2020(ニーゼロニーゼロ)オリンピック・パラリンピック」に向けては、市町と連携を図りながらキャンプ地誘致を推進し、県民との交流を進めるとともに、訪れた関係者やサポーター等の県内周遊にもつなげていきたいと考えています。
 次に、地域資源を活かしたスポーツツーリズムの推進については、「サイクル県やまぐち」の取組として、豊かな自然を活用したルート整備やサイクルエイドの設置等の環境整備を進めるとともに、自転車での周遊マップの作成等により、県内外からの誘客の促進を図ることとしています。
 また、コロナ禍において、自然体験への需要が高まる中、新たに、アウトドアスポーツの振興を図ることとし、お示しのマリンスポーツや登山など、多様なコンテンツを発掘するとともに、中核となる人材の育成等を進めてまいります。
 県としては、今後とも、こうした取組により、市町、関係団体と一体となって、スポーツを通じた地域活性化に積極的に取り組んでまいります。

3 女性の活躍促進について

 国では、女性活躍推進法をはじめ保育の受け皿整備などに取り組み、女性就業者数は7年間で約330万人増加した。
 しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、女性就業者数は、今年4月に減少に転じ、家庭と仕事との両立のため非正規で働く女性が大きく影響を受けたものと考えられる。
 一方、大企業などへのアンケート結果では、「管理職への意欲を持っていない」と回答した女性は59.2%を占め、その理由は「仕事と家庭の両立が困難」というものが多い。
 女性が自分の価値観を大事にしながら、多様な働き方や生き方の選択ができる環境の構築が大切ではないか。
 県では、やまぐち女性活躍応援団を設立し、県内事業所で女性が活躍する環境づくりを目指す取組がスタートした。
 女性が働きやすい、魅力的な環境が作られれば、女性管理職等の比率も向上し、県外流出の防止にも役立つと考える。
 女性の県内定着を促す取組や、就職後も女性がキャリアアップできる環境づくり、雇用形態にかかわらず多様な働き方の選択ができる環境づくりなど、女性活躍の取組を一層促進していくことが重要と考えるが、県は今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 女性の活躍促進についてのお尋ねにお答えします。
 人口減少や少子高齢化が進む本県において、地域を支える人材を確保し、地域の活力を維持・発展させていくためには、女性が活躍する社会を実現していくことが重要です。
 このため、県では、「やまぐち維新プラン」の重点施策に「女性が輝く地域社会の実現」を掲げ、女性の活躍促進に積極的に取り組んでいます。
 特に、就労の場においては、女性が県内企業に就職して働き続けられるよう、女性が活躍できる体制整備や働きやすい環境づくりなどの取組を進めているところです。
 具体的には、まず、女性が活躍できる体制整備については、女性管理職の登用を促進するため、民間で活躍する女性管理職によるアドバイザー制度を設け、管理職を目指す女性社員に対して相談支援を行っており、今年度からは、他社への派遣により、その充実を図っているところです。
 また、女性の活躍が企業の成長や人材確保に繋がることから、経済団体等と連携し、経営者の意識改革に向けたセミナーを開催しています。
さらに、女性活躍の取組を全県に幅広く波及させていくために、お示しのとおり、このたび、経済5団体、大学リーグやまぐち、県市長会・町村会のトップによる「やまぐち女性活躍応援団」を設立したところです。
 今後、各団体での取組の普及促進や情報共有を図るとともに、10月からは、応援団と連携して女子大学生等を対象としたセミナーを開催し、企業での女性活躍の取組紹介や女性社員の体験発表などを通じて、県内企業の魅力を伝え、若い女性の県内定着に繋げていきたいと考えています。
 次に、女性が働きやすい環境づくりについては、仕事と家庭の両立支援等に取り組む企業を「男女共同参画推進事業者」として認証し、その取組内容をホームページ等を通じて広く紹介することにより、認証事業者の拡大を図ってまいります。
 また、今年度から新たに、1日4時間以下の超短時間勤務から始め、ライフステージに応じて就業時間を拡大できる求人を創出し、企業とのマッチングを支援するなど、女性の多様な就業機会の確保に取り組んでいます。
 県としては、今後とも、女性が更に意欲を高め、持てる力を十分に発揮できるよう、関係団体や事業者等と連携を図りながら、女性の活躍を一層促進してまいります。

4 農業用ため池による災害の未然防止について

 農業用ため池は、特に西日本に多く分布し、本県にも8,638箇所のため池が存在している。
 平成30年西日本豪雨による農業用ため池の決壊等を受け、国は「今後のため池対策の進め方」を取りまとめ、昨年7月には、ため池の適正な管理体制の整備を目的とした「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が施行された。
 この法律では、ため池所有者等に県への届出を義務付けているが、届出が進んでいない。本県においては、5月末現在で6割の届出にとどまっている。ため池の廃止や改修は、土地所有者など関係者の同意が前提となっており、工事を前に進めるためにも関係者の割り出しを急ぐ必要がある。
 本年6月には、防災工事等の集中的かつ計画的な推進を図るため、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」が成立した。県は指針に基づき「防災重点農業用ため池」を指定し、防災工事等の推進計画を策定するほか、土地改良事業団体連合会に協力を求めることができ、県、市町、連合会の連携による、早期の計画策定、事業着工が待たれる。
 そこで尋ねる。法律環境の整備により、農業用ため池の防災工事の推進が期待される中、災害の未然防止に向け、県としてどのように取り組まれるのか所見を伺う。

答弁 部長
 農業用ため池による災害の未然防止についてのお尋ねにお答えします。
 農業用ため池の災害を未然に防止するためには、ハード・ソフト両面からの適切な対応が重要であることから、これまで、老朽化ため池を1,631箇所整備するとともに、梅雨入り前の点検パトロールや、市町が行うハザードマップの作成支援などに取り組んできたところです。
 とりわけ、昨年7月に施行された「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」に基づき、ため池管理者などに県への届出手続きを進め、本年8月には、決壊時に人的被害を与えるおそれのある防災重点農業用ため池について、届出が完了しました。
 しかしながら、防災重点農業用ため池以外のため池については、権利関係が不明確かつ複雑なものなど、相続調査が必要なため池も多く残されています。
 こうした中、本年6月には、防災重点農業用ため池の防災工事等を集中的かつ計画的に実施するための特別措置法が成立したことから、今後は、適正な保全管理体制の構築と防災工事の両面で、防災・減災対策を強力に進めてまいります。
 まず、適正な保全管理体制の構築に向けては、未届のため池について、登記事務に精通した専門家を活用し、相続調査を強化するとともに、ため池管理者などへの個別訪問などにより、届出手続きの促進を図っていきます。
 次に、防災工事については、現在行っている、防災重点農業用ため池を対象とした老朽化等の調査結果を踏まえ、浸水想定区域内にある重要施設の状況により優先順位を付け、今年度末までに、特別措置法に基づく防災工事等推進計画を作成することとしています。

5 あおり運転の取り締まり強化と被害防止に向けた意識啓発について

 あおり運転の取締り強化と被害防止に向けた意識啓発について、警察本部長のご所見を伺う。

答弁 本部長
 あおり運転の取締り強化と被害防止に向けた意識啓発についてのお尋ねにお答えします。
 いわゆるあおり運転につきましては、意図的に危険を生じさせる極めて悪質・危険な行為であり、断じて許されるものではありません。本年6月施行の改正道路交通法により、「妨害運転罪」が創設、厳罰化が行われ、これによる抑止効果も期待されているところです。
 県内では、改正法の施行後、妨害運転罪を適用した事案の発生はありませんが、議員お示しのとおり、取締り強化と被害防止に向けた意識啓発を一体としての取り組みを一層推進していく必要があると認識しております。
 まず、あおり運転の取締り強化についてですが、県警察では、あおり運転等の悪質・危険な運転が関係する事案を認知した場合には、ドライブレコーダーや第三者の目撃情報などの客観的な証拠資料の収集等を適切に行い、妨害運転罪を含めたあらゆる法令を駆使し、厳正な捜査を徹底してまいります。
 併せて、あおり運転を未然に防止する観点から、車間距離不保持等の道路交通法違反について、積極的な取締りを推進しているほか、悪質・危険な運転に関しては、県警察のホームページ内にあるEメール受付窓口で情報提供を呼びかけています。
 また、悪質・危険なドライバーを早期に道路交通の場から排除するため、あおり運転をしたドライバーに対する迅速な行政処分を推進してまいりたいと考えております。
 次に、被害防止に向けた意識啓発については、議員お示しのとおり自衛という観点からも、
 「ドライバーは、相手に対する「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持って判断し、行動すること」
 「あおり運転を受けた場合には、安全な場所で停車し、車外に出ることなく、直ちに110番通報すること」
 「ドライブレコーダーを設置することが、あおり運転の未然防止と違反の認定にも有効であること」
 などについて、様々な場でしっかりと周知していくことも重要です。
 県警察では、運転免許証の更新時講習やドライバー向けの講習などにおける交通安全教育のほか、県警察のホームページ、メルマガ、ラジオ・テレビ放送を活用した広報啓発や関係機関・団体等と連携した交通安全イベントなどの取り組みを通じ、県民の皆様への周知に努めてまいります。
 県警察においては、今後とも、あおり運転のない安全な道路交通の実現に向けた取り組みを一層推進してまいります。

6 認知症行方不明者の捜索態勢の充実・強化について

 本県における認知症による行方不明者の捜索態勢の充実・強化に向けて、県警としてどのように取り組むのか、御所見を伺う。

答弁 本部長
 認知症による行方不明者の捜索態勢の充実・強化についてのお尋ねにお答えします。
 県警察において、昨年、認知症又はその疑いがあるとして受理した行方不明者は192人で、前年よりも29人多く、更に、統計のある平成24年と比べて約2倍に増えるなど、全国と同様に年々増加する傾向にあります。
 その行方不明者のほとんどは、警察や関係機関の捜索等により無事に発見されておりますが、一方で、未発見の方や残念ながらお亡くなりになって発見されるケースがあることも事実です。
 議員お示しのとおり、今後も高齢化の進展に伴って、認知症を患う行方不明者の更なる増加が予想され、その捜索体制の充実・強化は非常に重要な課題であると認識しております。
 そして、これまでに対応してきた事例から、行方不明になられた方々を安全に保護し、ご家族の元にお帰りいただくために特に重要となるのは、早期の発見であると考えております。
 早期発見を図るため、県警察では、人命の安全を最優先に、認知症又はその疑いがある方の行方不明の届出を受理した際は、可能な限りの警察官を動員するとともに、各警察署等への手配や、警察犬、ヘリコプターの投入を図るなど組織的な対応により捜索活動を行っております。
 更に、警察だけではなく、タクシー会社や警備業者、郵便局などのご協力をいただくための手配を行うとともに、各市町で構築されている「徘徊高齢者発見・保護のためのネットワーク」、通称「SOSネットワーク」へも情報提供等を実施して発見時の通報依頼を行っております。
 行方不明者の確実な発見と保護を図るためには、今後も初動活動の充実と地域での高齢者を見守る目を増やす取り組みを進めることが何よりも大切です。
 このため、市町や関係機関・団体に対しては、SOSネットワークへの登録の拡充や捜索訓練への参加を働きかけるなど、更なる連携の強化を図ってまいります。
 また、認知症を患う方のご家族に対しては、行方不明時の速やかな届出やGPS端末の活用を呼びかけてまいります。
 県警察といたしましては、今後も、ご家族や県民の皆様の御協力を得ながら、認知症による行方不明者の捜索態勢の確立に努めていく所存です。

1 eスポーツの普及促進について

 本年2月議会において質問をし、従来のスポーツを中心とした取組を着実に推進しながら、eスポーツを含む新たなスポーツの活用を図っていく必要があると述べた。
 今年度は、県内各地のスポーツイベント等で、eスポーツ体験会等が実施されたと聞いており、多くの県民に触れる機会を提供していただき感謝申し上げる。
また、国体史上初となるeスポーツ大会が文化プログラムの一環として行われ、会場には多くの観覧者が来場するなど、大きな注目を集めた。
このように全国的に盛り上がり、注目されているeスポーツは、実生活にも良い影響を与えられる可能性を有し、障害、性別、年齢を超えて楽しむことができるユニバーサルな文化ともいえる。
 本県においては、民間団体が中心となってeスポーツの普及啓発、促進を行っているが、行政が本気で取り組んでいる事例は全国的に少なく、今年度実施したように官民共同の取組を更に充実、強化することで、本県の発展に寄与する大きな可能性があると考える。
そこで、本県におけるeスポーツの普及促進について、今後どのように取り組まれるかご所見を伺う。

答弁 部長
 eスポーツの普及促進についてのお尋ねにお答えします。
 世界的に大きな盛り上がりを見せたラグビーワールドカップに続き、東京オリンピック・パラリンピックの開催も間近に控え、全国的にスポーツに対する関心が高まりを見せています。
 こうした中、eスポーツは、お示しのとおり今年の茨城国体で都道府県対抗戦が行われるなど、社会的な認知度が高まっているとともに、年齢や性別等に関係なく楽しめ、人々がスポーツに親しむきっかけとなることから、県としても普及促進に取り組んでいるところです。
このため、今年度、県内の推進団体や企業と連携し、レノファ山口のホームゲームにおいてeスポーツを開催したところであり、子どもから大人まで幅広い年代の方が参加するなど、世代を問わずeスポーツの注目度が高いことが感じられました。
こうしたことから、eスポーツは、本県においても、スポーツ活動への参加者の裾野を拡大し、誘客を促進する力を十分に持っていると再認識したところであり、今後も普及促進に向けた取組を進めていくこととしています。
具体的には、レノファ山口のホームゲームのみならず、身近な地域でスポーツに親しめる地域スポーツフェスタ等において体験会を開催するなど、多様な場でeスポーツに触れる機会を設けることにより、機運の醸成や県全体への普及促進に取り組んでまいります。
また、こうした体験会等を、民間事業者と共同して開催することを通じて、eスポーツの普及に積極的な地域の人材を掘り起こしながら、全県的な普及に向けた推進団体の設立につなげるなど、県内全域でeスポーツを根付かせる取組を進めていきたいと考えています。
さらに、eスポーツイベントの開催を通じてスポーツへの関心を高め、参加促進を図る市町や地域のスポーツクラブの動きも出始めており、スポーツイベントに対する既存の補助事業等を活用しながら、こうした先進的な取組も支援していきます。
県としては、今後とも、スポーツの裾野を広げるとともに、本県の交流人口の拡大や地域の活性化にもつながるよう、eスポーツの普及促進に取り組んでまいります。

2 災害弱者の支援について

 平成25年に災害対策基本法が改正され、災害弱者のリスト作りが義務化されたが、個別の避難計画策定は義務とはならず、策定済の自治体は現在も1割強となっており、誰が誰の支援を担うのかという課題が残されたままである。
 災害時の避難者及び災害弱者の支援は、一義的には各市町が行うことは承知しているが、避難計画等の内容や人的、物的制限から、各市町での支援方法や内容には差があり、同程度の災害においても同様の支援ができない状況にある。
 そこで、県としてどの地域でどのような災害が起こったとしても、各市町が避難者及び災害弱者に対して統一した基準でしっかりとした支援を行うことができるよう、各市町とこれまで以上に緊密に連携をとり、それぞれの現状に合わせて情報提供や支援を行う必要があると考える。
 各市町の一義的責任と言わず、本県が災害時支援の先進的な自治体となり、「災害弱者の犠牲者をゼロにする」、その実現に向けて県のリーダーシップを期待している。
 今後、災害時における災害弱者支援について、どのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 部長
 災害弱者の支援についてのお尋ねにお答えします。
 災害から命を守るためには、適切なタイミングで確実に避難することが何よりも重要であることから、特に、お示しの災害弱者の避難については、支援体制をしっかりと構築しておく必要があります。
 このため、県では、避難行動や避難生活のために配慮を必要とする方への支援策をとりまとめた「要配慮者支援マニュアル策定ガイドライン」を作成し、市町に対し、地域の実情等を踏まえた具体的な取組を要請してまいりました。
 各市町においては、このガイドラインに沿って、対象者の名簿の作成や、誰がどのように避難を支援するのかを定めた個別計画の策定など、避難支援や安否確認の体制整備に取り組んでいるところです。
 また、避難所に関しても、地域住民が市町や避難所となる施設の管理者と話し合い、妊産婦などにも配慮した避難所のレイアウトや生活ルール等を予め取り決めておく、地域独自の「避難所運営の手引き」の作成を促進しています。
 こうした取組に加え、県内14の福祉団体と協定を締結し、市町による福祉避難所の指定への協力体制や、広域的な福祉人材等の派遣体制を整えており、今後は、この協定に基づき、市町と連携をして、福祉避難所の充実にも努めていくこととしています。
 さらに、近年の災害状況を踏まえ、県として住民の避難に一層関わっていく必要があると考え、今年度からは、市町と一体となって、災害リスクの高い地域を対象に、住民自らが近隣の高齢者等にも自発的に避難を呼びかけ、一緒になって避難するための体制づくりを推進しているところです。
 県としては、今後とも、市町や関係機関等との緊密な連携の下、災害時における全ての方の「逃げ遅れゼロ」の実現を目指し、災害弱者の避難支援にしっかりと取り組んでまいります。

3 官民データの活用推進について

 今、社会は、IoTの活用により様々なモノがつながる第4次産業革命を迎え、医療や購買情報など、様々なビッグデータが生まれ蓄積されている。
 ビッグデータの活用は、生産性の向上や新たな需要の掘り起こしにつながり、経済成長や地域の課題解決など様々な分野での活用が期待されており、このためにも、過疎地等の県民に配慮したICT環境整備に加え、またパーソナルデータ流通に対する不安を払拭するための環境整備も必要である。
 こうした中、公的機関と民間企業が保有するビッグデータを誰もが活用できるようにする「官民データ活用推進基本法」が施行され、県では、官民データの利活用の方向性をまとめた「官民データ活用推進計画」の素案が示され、オープンデータのポータルサイトを開設するなど、官民データの利活用の推進に向けた環境整備を着実に進めようとしている。
 全国知事会の情報化推進プロジェクトチームのリーダーに就任した知事を先頭に、本県の抱える様々な課題を官民データの活用によりスピード感を持って解決していただきたいが、地域課題の解決や県内経済の活性化に向け、今後、官民データの円滑な活用と利用環境の整備にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 官民データの活用推進についてのお尋ねにお答えします。
近年、AIやIoT等の情報通信技術の急速な進歩や高度化により、インターネット等を通じて、いわゆるビッグデータといわれる膨大なデータが発生しています。
 こうしたデータの効果的な活用は、地域課題の解決や経済の活性化等に繋がることから、国においては、「官民データ活用推進基本法」が施行され、県においても、データ活用のための積極的な取組が求められているところです。
 このため、県では、行政や民間の保有するデータの流通促進や利用環境の整備に関する施策を効果的に推進するため、お示しの「官民データ活用推進計画」を、今年度末を目途に策定し、官民データの活用に向け、取組を強化していくこととしています。
 具体的には、市町と共同で、行政が保有する様々なデータを統一フォーマットで提供する「オープンデータカタログサイト」を開設し、県民や事業者が利用しやすい環境を整備したところであり、今後、参加市町や掲載データの増加により、その内容の充実を図ってまいります。
 また、産業面での利用も重要であることから、民間企業等において、様々なデータを活用した事業化を促進するなど、産業面でのデータの活用事例の創出にも取り組みます。
 さらには、超高速ブロードバンドの整備促進など、データ活用のための情報通信基盤の整備を図るとともに、AI、IoT等の未来技術の利活用のための支援体制の整備等を進めるほか、行政手続きのオンライン化等による県民や事業者の利便性の向上にも取り組んでまいります。
 一方、データの活用には、サイバー攻撃や情報漏洩等への対策が不可欠であることから、セキュリティ対策や個人情報の適正な取扱いの確保も図っていきます。
 県としては、今後とも、地域課題の解決や県経済の活性化に向けて、市町や民間事業者等と連携し、官民データの活用推進に取り組んでまいります。

4 女性の県内定着に向けた魅力的な環境づくりについて

 本県は1985年以降、一貫して人口が減少しており、近年では若年層の転出超過、特に若年女性の転出超過が顕著である。
 若者の転出超過は本県に限らず、全国的な傾向であり、こうした中、県では様々な事業展開により、若者や女性の転出超過を減らす取組を行っているが、成果が上がっている事業がありながら、依然として厳しい状況が続いている。
 私はこれまでの取組を充実・強化することはもちろんであるが、視点を変えた取組も新たに必要と考えており、女性の定着やUターンを考えるに当たっては、就労・生活両面から、魅力的な環境であるかを考える必要があるのではないか。
 女性の県内定着に向けた取組を進めるに当たっては、これまでの結婚や妊娠、出産、子育ての取組などによる短期的な結果を求めるだけでなく、まず、男女共同参画や女性の活躍促進に長期的、重点的に官民一体となり取り組み、今以上に女性にとって魅力的な環境をつくっていくべきと考える。
 そこで、県では、女性の県内定着に向け、男女共同参画や女性の活躍促進の取組を充実し、女性にとって魅力的な環境づくりに今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 女性の県内定着に向けた魅力的な環境づくりについてのお尋ねにお答えします。
 人口減少が進行する中、若い女性の県外流出に歯止めをかけるとともに、県外からも女性の移住を促進し、県内定着を図っていくためには、女性が就労や生活をする上で、魅力的な環境づくりを進めていくことが重要であると考えています。
 このため、県では、「やまぐち維新プラン」において、「女性が輝く地域社会の実現」を重点施策として掲げ、市町や関係団体等と連携しながら、男女共同参画の推進や女性の活躍促進に積極的に取り組んでいるところです。
 まず、男女共同参画の推進に向けては、性別による役割分担意識を解消し、県民の男女共同参画への理解を深めるため、毎年10月の推進月間を中心に、フォーラムの開催や各種マスメディアを活用した効果的な普及啓発を実施していきます。
 また、男女が協力して家庭を築いていくためには、男性の家事・育児への参画が重要であることから、夫婦が役割分担を考えるきっかけとする男女共同参画手帳を配布するほか、男性が家事の基礎的な方法を学ぶ講座を開催しています。
 次に、女性の活躍促進に向けては、女性管理職の登用を拡大するため、ロールモデルとなる女性管理職によるアドバイザー制度を創設し、他社の女性社員が管理職になるための相談支援や、セミナーで経営者に対し、女性登用の提言等を行っています。
 また、女性が働きやすい職場環境づくりを進めるため、女性のキャリアアップや雇用の継続を応援する企業を、「やまぐち女性の活躍推進事業者」として登録し、取組内容を広く紹介して推進事業者の拡大を図っていきます。
 さらに、女性がライフステージに応じて柔軟に働くことができるよう、勤務時間をフルタイムとパートタイムで選択できる制度や、有給休暇を時間単位で取得できる制度の導入を進めていきます。
 県としては、今後とも、女性が魅力を感じて県内への定着が進むよう、男女共同参画の推進や女性の活躍促進に積極的に取り組んでまいります。

5 県民の健康づくりについて

 身体機能の維持・向上は、自立した日常生活や社会生活を営む上で欠かせないことから、生涯にわたる身体活動や運動の実践に向けた取組を充実させる必要がある。
 県では、健幸アプリにおいて、2万ダウンロードを達成し、アプリと連携したイベントを展開するなど、積極的に県民意識の向上につなげていることを大いに評価する。
 しかしながら、青・壮年期の運動習慣のある者の割合が低いことや、男性に比べ女性の運動不足の割合が高いことなど、年代や性別による身体活動量の差が存在する。
 県民全員が参加する健康づくりに向けては、全県的な機運が高まっているこの機会を捉え、これまでの取組成果も活かし、対象とする年代や性別に応じたきめ細かな意識啓発やイベントの開催を通じた情報発信などの効果的な取組や、日常生活での運動の習慣化のきっかけになる機会の提供、さらには、県民の主体的な健康づくりにつながる環境づくりなどの取組をさらに充実させる必要があると考える。
 そして、こうした取組を通じ、一人でも多くの県民が日常的な身体活動量を増加させ、いつまでも健康で元気に活躍できる社会を実現していただきたい。
 そこで、県では、健康寿命の一層の延伸に向け、運動等を通じた県民の健康づくりに今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは県民の健康づくりについてのお尋ねにお答えします。
 私は、人生100年時代と言われている中、県民誰もが生涯を通じて健康に暮らし、元気で生き生きと活躍できる社会を実現するためには、健康寿命の延伸に向けて、健康づくり対策を充実させていくことが、極めて重要と考えています。
 このため、「やまぐち維新プラン」に掲げるプロジェクトとして、「県民一斉健康づくり」に幅広く取り組んでおり、健康づくりのツールとして開発したやまぐち健幸アプリのダウンロード数が目標を上回るペースで2万件を超えるなど、県民の意識も徐々に高まってきているところです。
 その一方で、お示しのとおり、働き盛りの青・壮年期や女性の運動不足の割合が高いことなどの課題もあることから、将来の生活習慣病の発症を予防するために、日頃から運動に取り組むよう働きかけることが必要です。
 まず、青・壮年期の運動習慣の定着を図るため、事業所を対象とした健康経営企業認定制度を推進するとともに、ウォーキング通勤を促すキャンペーンの展開や、職場での積極的な階段利用を推奨することなどにより、運動に対する意識啓発と組織的な健康づくりの促進に努めています。
 また、これから運動に取り組む女性にも参考となるよう、アプリやホームページを活用し、健康関連イベントの情報に加えて、県と協定を結んだミズノの協力を得て作成したストレッチ体操やウォーキング方法の動画を配信するなど、効果的な情報発信に取り組んでまいります。
 さらに、より多くの方に健康づくりに参加していただけるよう、今年10月に、企業・団体がチームで歩数を競い合う「健幸チャレンジ月間」を初めて開催したところ、132チーム、約3千人の参加があったことから、来年度も参加者の拡大を図り、健康づくりの輪をさらに広げてまいります。
 私は、こうした取組を通じ、県民の運動習慣を定着させ、健康で元気に活躍できる社会の実現に向け、市町や民間企業等と連携しながら、県民総参加による健康づくりの推進に全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

6 介護ロボットの導入と利活用について

 高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせる、持続可能な介護提供体制を確保することが重要で、とりわけ人材の確保対策の充実が急務である。
 県ではこれまで様々な対策に取り組まれているが、介護職員の需要に追い付かない状況にあり、現状を打破するため、新たな視点から人材確保対策に取り組む必要があり、介護ロボットの導入や利活用が、その手段の一つになると考える。
 介護業務を支援するロボットは、介護職員の負担を軽減し、要介護者の自立を支援する口ボットは、QOLやケアの質を向上させる。こうした取組を通じて働きやすい環境を整えることが、介護業界のイメージも向上させ、新たな人材の参入や離職した人材の復職などにつながると思う。
 国においては、介護ロボットの導入促進や現場ニーズを踏まえた開発支援の取組を加速化している。
 県では、今年度介護ロボットの導入支援を開始しているが、国の動きとも連携し、介護施設での導入につながる効果的な普及啓発など、さらに取り組みを充実させる必要があると考える。また、導入した施設の活用方法等の共有や、利用者ニーズの開発者等へのフィードバックなどを行い、これまでの取組成果も活かした、さらなる導入の拡大や効果的な利活用につなげていただきたいと思う。
 県では今後、持続可能な介護提供体制の確保に向け、介護ロボットの導入と利活用にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 介護ロボットの導入と利活用についてのお尋ねにお答えします。
 高齢化が進行し、要介護者の一層の増加が見込まれる中、高齢者一人ひとりの状態に応じた、質の高い介護サービスを安定的に提供していくためには、その要となる介護人材の確保が重要です。
 本県においても、労働力人口の減少が進む中、介護現場における人材確保は喫緊の課題であり、労働環境の改善につながる介護ロボットの導入は、介護職員の確保に大きな効果があると考えています。
 このため、県では、現場のニーズを踏まえた介護ロボットの導入促進や、効果的な活用方法の普及に取り組んでいるところです。
 まず、導入促進については、先進的な介護ロボットを導入する介護事業所を支援するため、お示しのとおり、今年度、助成制度を創設し、16施設で48台分の助成を行ったところです。
 助成により導入した機器には、ベッドから車椅子等への移乗を補助するものや、睡眠時の利用者の心拍数や体の位置を把握するセンサーなどがあり、事業者からは、職員の心身の負担軽減や、事故防止に効果があるとの報告を受けています。
 次に、効果的な活用方法の普及に向けては、導入効果を広く周知するため、助成を受けた事業者に対し、導入に伴う改善状況などの調査を行い、県のウェブサイトで活用事例として公表するほか、会議等の機会を通じて関係団体に紹介するなど、情報の共有を行うこととしています。
 また、こうした情報を、県内のリハビリ専門職や介護用具販売事業者などで構成する、介護ロボットの開発提案を行う協議会に提供することにより、国が進める研究開発に、介護職員や利用者のニーズが反映されるよう努めてまいります。
 さらに、実際に介護ロボットに触れることによって、介護事業者の関心の高まりが期待できることから、国の事業を活用し、介護ロボットの体験展示や先進的に取り組んでいる事業者による講演などを行い、導入に向けた機運の醸成を図っているところです。
 県としましては、介護提供体制を支える人材の確保に向け、介護ロボットの開発や普及を図る国の動きとも連携し、介護ロボットの導入と利活用の促進に積極的に取り組んでまいります。

1 平成のその先の時代に向けた山口県の人づくりについて

 人口減少が進み、地域経済が縮小する中、地域の活力を創り出す、未来を担う人づくりは重要な課題である。
 県では、「やまぐち未来維新塾」の開催など、将来を支える若者たちの郷土への誇りと愛着を高め、地域が必要とする人材の輩出・育成や、コミュニティ・スクールを核とし、社会総がかりで子どもの学びや育ちを支援する体制の構築などを進めており、これまでの取組を高く評価している。
 今後、ますます加速が見込まれる様々な社会の変化に対応し、積極的にチャンスを見出し、それを活用し、活躍できるよう、必要な資質、能力を兼ね備えた人づくりを進めていかなければならない。「人づくり」は「地域づくり」であり、「活力みなぎる山口県」を実現していく未来への懸け橋であると思う。
 そこで、「人生100年時代」や「Society5.0」など、平成のその先の新たな時代を生き抜くため、今後どのような人材を育成していこうと考えているのか、また、これまで進めてきた明治150年に向けた人材育成の成果を活かし、本県ならではの人づくりに、どのように取り組んでいくのか所見を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは、平成のその先の時代に向けた山口県の人づくりについてのお尋ねにお答えします。
 人口減少社会の進行や、健康寿命の延伸による「人生100年時代」の到来、AI、IoT等の第4次産業革命の進展による超スマート社会「Society5.0」の実現など、今後、産業構造、生活環境は大きく変化をし、これまで私達が経験したことのない時代を迎えることが予想されます。
 これからの山口県を担っていく若者は、こうした、将来を予測することが困難な時代の中で、自らの未来を切り拓いていかなければなりません。
 このため、私は、県としても、時代の変化に対応しながら、未知なる課題に対して、自らが考え判断し、主体的に行動していく力を身につけた人材を育成していくことが必要だと考えています。
 明治150年プロジェクトにおいても、こうした考えの下、人材育成を大きな柱として掲げ、「やまぐち未来維新塾」や「若者国際シンポジウム」など、若者が、明治維新を成し遂げた、ふるさと山口県に誇りを持ち、先人達の「志」と「行動力」を学び、それを自らのものとするための取組を進めてきました。
 新たな時代に向けて、これから取り組む人づくりにおいては、こうした山口県らしい取組の成果を発展させながら、「山口県ならではの人づくり」を展開していきたいと考えており、来年度は、本県が今後取り組むべき人づくりの指針となる推進方針を策定します。
 策定に向けては、まず、全国で活躍する教育界、経済界など幅広い分野の有識者との懇話会を開催し、新たな時代に必要となる資質や能力などについて、意見や提言を伺うとともに、それを踏まえて、県内の産学公の有識者による連携会議で議論を重ねていきます。
 さらに、人づくりには、教育委員会との連携も重要であることから、総合教育会議で教育委員の意見を伺うとともに、私が委員を務める、国の「中央教育審議会」での審議内容や、安倍総理が主催する「教育再生実行会議」における提言なども取り入れ、新たな時代を見据えた推進方針を創り上げます。
 私は、現在に至る山口県を築いてきたのは人であり、これからの山口県を切り拓いていくのも人だと考えます。そして、本県の未来を切り拓く人づくりを進めていくことは、今を生きる我々の責務であると思っています。
 私は、山口県の将来を活力あるものとするため、新たな時代の県づくりを担う若者の育成に向けた取組を、全力で進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

2 防災・減災対策の充実について
(1)道路防災や河川改修、土砂災害対策の強化について

 甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨は、県東部を中心に県民生活や経済活動に深刻な打撃を与えた。
 本県では平成21年7月豪雨以降、10年間で5回も豪雨による災害が発生している。
 近年、豪雨災害が頻発化・激甚化しており、国では、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」により、集中的なインフラ整備に取り組むとされた。
 本県の来年度当初予算案並びに補正予算案では、防災・減災対策に資する事業費が大幅に増額となっており、県土の強靭化に資するインフラ整備を、最優先に思い切って前に進めるという知事の強い決意を感じた。
 そこで、災害に強い県づくりを進めるため、道路防災や河川改修、土砂災害対策の強化に今後どのように取り組むのか伺う。

答弁 部長
 防災・減災対策の充実についての2点のお尋ねにお答えします。
 まず、道路防災や河川改修、土砂災害対策の強化についてです。
 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発化・激甚化しており、本県でも、お示しのとおり、昨年の7月豪雨をはじめ、10年間で5回の豪雨による甚大な被害が発生しています。
 県としては、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、経済・生活を支える道路や、防災のための河川、砂防等、重要インフラの機能の維持・強化を推進し、被害の防止・最小化等を図ることが極めて重要であると認識しています。
 このため、県では、重要インフラの緊急点検の結果等も踏まえ、国による「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の予算も活用しながら、今後起こりうる大規模な自然災害等に備えて、道路防災や河川改修、土砂災害対策を集中的に実施してまいります。
 具体的には、災害時に大きな役割を果たす緊急輸送道路等の法面対策や橋梁の耐震化などの道路防災、氾濫による危険性が特に高い区間における、河川内の立木伐採・土砂掘削や川幅の拡幅などの河川改修、土石流から避難所や避難路などを保全する砂防堰堤の整備などの土砂災害対策を、緊急性や事業効果の高い箇所から、重点的・計画的に進めていく考えです。
 県としては、県民の安心・安全の確保のため、引き続き、必要な予算を可能な限り確保したうえで、防災・減災対策の更なる充実強化に取り組んでまいります。

(2)土砂災害被害の防止に向けた取り組みについて

 昨年6月議会で、頻発化・激甚化する土砂災害被害の防止に向けて、ハード面はもとより、ソフト面における減災意識の啓発が大変重要であると訴えたが、わずか1週間後、平成30年7月豪雨が発生し、本県でも3名の方がお亡くなりになられるなど、甚大な被害が発生した。
本県は、土砂災害警戒区域等の指定数が他県に比べ非常に多いため、危険度や緊急 性の高い箇所から砂防施設の整備を進めるとともに、土砂災害警戒情報の提供や啓発活動の推進、市町による土砂災害ハザードマップの作成や配布といったソフト面の対策も合わせて行われてきた。
 私が被災地域を訪問した際には、「自分の住んでいる地域がレッドやイエローゾーンに指定されており、危険があることは理解していたが、避難勧告等が発令されても、心のどこかで自分の所は大丈夫と油断して避難行動を取らなかった」といった声も寄せられた。
 私は、県民一人ひとりが自分の事として、防災・減災を意識していただくとともに、それらの向上を図る取り組みについては、県や市町だけではなく、地域の住民が主体となるような形で進めていく必要があると考える。
 そこで、7月豪雨災害によって得られた新たな課題を踏まえ、土砂災害被害の防止に向け、住民への意識啓発といった取組をさらに推進していく必要があるかと考えるが、県は、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、土砂災害被害の防止に向けた取り組みについてです。
本県は、地形的・地質的特性から、全国に比べて多くの土砂災害危険箇所を有しており、近年、甚大な土砂災害が発生しています。
 このため、お示しのとおり、これまでも、砂防堰堤の整備等のハード対策に加え、大雨時に住民が迅速かつ的確に避難できるよう、土砂災害警戒情報の発表や、出前講座をはじめとした普及啓発、特別警戒区域を明示した土砂災害ハザードマップの全戸配布など、ソフト対策に係る取組も着実に進めてきたところです。
 こうした中、平成30年7月豪雨の土石流により、3名の尊い命が失われるなど、甚大な被害が発生したことを踏まえ、今後の防災対策に活かすため、県防災会議の専門部会を活用して、住民の避難行動に係る課題について検証を進めた結果、自分の住んでいる地域の危険性を認識しているものの、避難場所を決めていない人や、「危ない」と感じても、避難行動をとっていない人が多い事例等が改めて確認されました。
 このため、県では、住民一人ひとりが適切な避難行動をとれるよう、市町が作成した土砂災害ハザードマップを活用して、住民自らが現地を確認し、避難場所や避難経路等を記載した自治会単位の防災マップを作成する取組を、市町と連携して支援することとし、必要となる経費を来年度当初予算にも計上したところです。
 また、様々な形で防災意識の啓発に努めるため、市町など関係機関と連携し、土砂災害ハザードマップを活用した要配慮者利用施設での避難訓練や、自治会等への出前講座に、より多くの住民が参加していただけるよう、引き続き、取組を進めてまいります。
 県としては、今後とも、土砂災害被害の防止に向け、市町などの関係機関と緊密に連携し、ハード対策はもとより、ソフト対策も含めた防災・減災対策を積極的に推進してまいります。

3 スポーツ革命期における本県の取り組みについて

 東京オリ・パラ等を契機に全国的にスポーツへの関心が高まる中、本県においても、スポーツ推進計画に基づき、交流人口の拡大や地域の活性化に繋がる施策を一層強力に推進しなければならない。
 従来のスポーツは、実際の、身体による運動を指していたが、デジタルテクノロジーの進化や競技形態の多様化により、スポーツの概念は拡大の一途である。
 例えば、BMX等の「都市型スポーツ」では、昨年の「FISE広島」でも8万6千人もの集客があり、電子上で行われる競技性の高いゲームである「eスポーツ」は、全世界の競技人口が1億人以上と、爆発的な人気である。
 そこで、「都市型スポーツ」や「eスポーツ」が関心を集め、「スポーツ革命期」ともいえる新たな動きの中、交流人口の拡大と地域活性化の実現に向けて、従来のスポーツを中心とした取組を着実に推進しながら、「新たなスポーツ」の活用も図っていく必要があると考えるが、ご所見を伺う。

答弁 部長
 スポーツ革命期における本県の取り組みについてのお尋ねにお答えします。
 来年の東京オリンピック・パラリンピックや、今年秋のラグビーワールドカップの開催を間近に控え、全国的にスポーツに対する関心が高まりをみせています。
 こうした中、お示しのとおり、東京オリンピックの新種目に追加されたBMXなどの「都市型スポーツ」や、電子上のゲーム競技である「eスポーツ」の大会が全国各地で開催されるなど、新分野のスポーツが注目を集め、集客面でも大きな力を発揮しています。
 県においても、昨年、山口ゆめ花博の会場において、サイクルスポーツに関心を持っていただけるよう、アクロバティックなBMXショーを開催したところ、子供から大人まで、幅広い年齢層の多くの観客が集まり、関心の高さが感じられたところです。
 こうしたことから、新分野のスポーツは、従来のスポーツに関心が薄い層や若者へも訴求力が高く、スポーツ活動への参加者の裾野を拡大するとともに、誘客の促進にも活用できるものと考えています。
 このため、県では、昨年改定したスポーツ推進計画において、従来のスポーツの振興に加え、新分野のスポーツを、交流人口の拡大と地域の活性化に向けた取組の一つとして新たに位置づけたところであり、まずは、機運の醸成や県全体への普及に取り組んでいくこととしています。
 具体的には、レノファ山口のホームゲームや、県内各地で開催される従来のスポーツイベントなどにおいて、「eスポーツ」やBMXなどのデモンストレーションや体験会を併せて開催し、訴求力が高い、新分野のスポーツの県民へのスムーズな浸透を図っていきます。
 県としては、今後とも、従来のスポーツとの相乗効果が発揮され、スポーツを通じた本県の交流人口の拡大や地域の活性化につながるよう、新分野のスポーツの活用に積極的に取り組んでまいります。

4 中小企業における事業承継の促進について

 高齢化社会の急速な進展により、企業が経営を継続する上で、円滑な事業承継がますます大きな鍵となっている。
 大量廃業の危機が目の前に迫る中、国においては、「事業承継5カ年計画」を策定し、事業承継ニーズの掘り起こしから後継者マッチングに至るまで切れ目ない支援に取り組んでいる。
 先月から、当事者意識の醸成や支援機関の連携強化を目指す事業承継イベントが全国展開されており、会場は盛況で、当事者意識も大きく変化している。今後もしっかりと意識醸成を進めていかなければならない。
 さらに、今年度から非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度が拡充され、来年度から個人事業主についても事業承継税制が創設され、具体的な承継のインセンティブとなる。
 県としても、こうした国の動向を踏まえ、事業承継の促進に向けた取組を強化すべきであると考えるが、これまでの取組成果やそこから見えてきた課題、本県の特徴などを踏まえた、より実効性のある取組としていただきたい。
 そこで尋ねる。地域経済の活性化に向け、県では、中小企業における事業承継の促進にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

答弁 部長
 中小企業における事業承継の促進についてのお尋ねにお答えします。
 経営者の高齢化が進み、後継者不在率が全国でワースト2位とされる本県において、中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継を促進することは喫緊の課題です。
 県では、これまで、やまぐち産業振興財団の「事業引継ぎ支援センター」を中心に、1,600件を超える集中的な対面ヒアリング等を実施しており、事業承継への早急な着手の必要性など、徐々に意識啓発が進み、具体的な承継計画の策定にもつながっています。
 こうした中、とりわけ親族への承継を希望する事業者の割合が高い本県においては、多くの事業者が、後継者不在の現実に直面しており、承継の選択の幅を広げる取組を進めていく必要があります。
 このため、来年度は、親族等への承継支援に加え、新たに創業を希望する第三者も後継者候補として選択できるよう、「継業」という考え方を採り入れ、後継者不在事業者と創業希望者双方への支援を、切れ目なく一体的に進めることとしています。
 具体的には、産業振興財団に「創業・事業承継総合サポートセンター」を設置し、これまでの承継コーディネータと、新たに配置する創業コーディネータが連携して支援する体制を整備します。
 また、AIを活用し、県内事業者と全国の創業希望者とをつなぐ県独自のマッチングサイトを構築するとともに、必要に応じてコーディネータがネット面談や個別面談をサポートするなど、承継の実現までを一貫して支援します。
 併せて、個別企業の事情に精通する税理士・県税理士会と連携し、身近な成功事例等を紹介する冊子の作成やセミナー等を通じ、多様な選択肢や事業承継税制等について、広く啓発していくこととしています。
 県としましては、今後とも、関係機関と緊密に連携しながら、中小企業の円滑な事業承継の促進にしっかりと取り組んでまいります。

5 交番・駐在所に勤務する警察官の安全対策について

 昨年から全国で発生している警察官の襲撃事件を踏まえ、交番・駐在所に勤務する警察官の安全対策が必要と考えるところ、その対策への取組について、県警本部長のご所見を伺う。

答弁 警察本部長
 交番・駐在所に勤務する警察官の安全対策についてお答えいたします。
議員お示しのとおり、交番・駐在所は、地域住民にとって身近な存在で、気軽に立ち寄れる場所であるべきであり、県警察においても地域の生活安全センターと位置づけております。
 ところで、昨年以降、富山市、仙台市で交番・駐在所への襲撃事件が発生しましたが、この生活安全センターが犯罪者に脆弱であれば、地域住民の信頼は得られないと考えているところであり、県警察におきましても、その開放性をできる限り維持しながらも、交番等のセキュリティを高める対策に取り組んでいるところであります。
 具体的には、「単独勤務の縮減」、「資機材の徹底した有効利用」、「訓練の強化」を3つの大きな柱として取り組んでおります。
 まず、交番等において一人で勤務、いわゆる単独勤務ですが、これをしていますと、襲撃される可能性が高まると考えられますので、単独勤務の縮減に取り組んでいます。つまり、警察官の勤務指定を工夫することにより、交番においては、通常、警察官が一人で勤務することがないような体制をとるようにしております。駐在所についても、近隣の交番・駐在所と合同で警らを行うようにするなどして、駐在所で、単独勤務する時間ができる限り少なくするようにしております。
   次に、資機材の徹底した有効利用につきましては、耐刃防護衣を地域警察官は常時着用することとしたうえで、楯や刺股といった受傷事故防止用の資器材が直ちに使用できる位置に置いているかどうかについて点検をしております。
 また、セキュリティを高めるために、必要な装備や設備については、順次、整備・改修を進めております。
 最後に、訓練の強化につきましては、これまでも不意の攻撃に対する訓練を行っておりましたが、現在、すべての交番等において、襲撃事件を想定して、犯人を撃退し拳銃を奪われないようにするための訓練を行っており、その訓練には、そこで勤務する警察官全員が参加しております。
 なお、こうした一連の対策の根底には、普通の市民には丁寧に、しかし、普通の市民を装ってやってくる襲撃者の攻撃は撃退できるよう、すべての地域警察官が常に緊張感をもって勤務することであります。このため、本部や警察署の幹部が、現場の巡回を行って、その緊張感の維持、涵養に努めております。
県警察としましては、今後とも、今申し上げたような対策を確実に推進しまして、 交番・駐在所が一般の市民にはできる限り開かれた場所でありながらも、他方で、セキュリティを高めるという二律背反的な課題に的確に取り組んでまいります。

1 土砂災害被害の防止に向けた取組について

本県は土砂災害危険箇所が多いため、土砂災害防止施設の整備率は24%と低い水準にあり、整備率を上げていく必要がある。県では、これまでも、危険度や緊急性の高い箇所から重点的・計画的に対策を実施され、予算確保を国に要望されているが、引き続き整備率を上げるための取組を少しでも前に進めて頂きたいと考える。
一方、現実として、危険箇所の整備率を短期間で向上させることは困難であることから、災害発生時の人的被害を最小限に食い止めるためには、県民への減災に対する啓発活動が特に重要であると考える。
全国各地で毎年のように土砂災害被害が発生しているにもかかわらず、家族での避難準備や避難経路の確認等もほとんどの方ができておらず、全戸配布されたハザードマップはどこにあるかわからないという方が圧倒的に多い。
これまでも県や各市町は、様々な形で防災意識の啓発に努めてきたが、県民一人ひとりが自分事として意識するため、土砂災害に対する意識の向上と正しい知識の普及がより一層重要であると強く感じる。
そこで、土砂災害被害の防止を図る観点から、ハード面における施設整備の促進はもとより、ソフト面における減災意識の啓発について、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 土砂災害被害の防止に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。
本県は、地形的・地質的特性から多くの土砂災害危険箇所を有しており、平成21年、25年、26年と近年も甚大な土砂災害が頻発しています。
このため、県では、これまでも、砂防堰堤などの土砂災害防止施設の整備と併せ、大雨時に住民が迅速かつ的確に避難できるよう、土砂災害特別警戒区域の指定や、土砂災害警戒情報の発表、出前講座をはじめとした普及啓発など、土砂災害対策を着実に進めてきたところです。
 こうした中、お示しのとおり、施設の整備率が未だ低い水準にあることや、土砂災害ハザードマップが活用されず、避難準備や避難経路の確認ができていない事例等も見受けられることから、更なる施設の整備はもとより、住民の土砂災害に対する意識の向上と正しい知識の普及がより一層重要であると認識しています。
 このため、土砂災害防止施設の整備については、可能な限り予算確保に努め、近年災害が発生した箇所、要配慮者利用施設や避難所が立地する箇所など、引き続き、危険性や緊急性の高い箇所から、重点的・計画的に進めてまいります。
 また、様々な形で防災意識の啓発に努めるため、市町などの関係機関と連携し、土砂災害ハザードマップを活用した要配慮者利用施設での避難訓練や、小学校への出前授業、自治会等への出前講座に、より多くの住民の皆様が参加して頂けるよう、一層充実していくこととしています。
 また、市町が作成したハザードマップを活用して、住民自らが現地を確認し、避難場所や避難経路等を記載した自治会単位の防災マップを作成する取組について、市町と連携して支援するなど、住民一人ひとりが適切な避難行動がとれるよう、防災意識の醸成を図っていく考えです。
 県としては、今後とも、県民の安心・安全の確保に向け、市町などの関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から総合的な土砂災害対策を推進してまいります。


2 介護人材の確保について
 本年3月に策定された「第六次やまぐち高齢者プラン」によると、本県で介護が必要となる人は、2025年度に10万1千人になると推計され、一方で、介護人材は3,709人の不足が見込まれている。
全国でも介護職員数が需要に追いつかないのは、少子高齢化により生産年齢人口が減少していることや、介護職の離職率が他の職種に比べて高いことも要因の一つである。
政府も人材確保のための「新規参入促進」「離職介護人材の呼び戻し」「離職防止・定着促進」の3つの柱でできた対策を打ち出しており、私もこうした視点での取組が重要であると考える。
現在、県においても、この方向性に沿った取組が進められていると思うが、2025年に向けては、さらなる取組の強化が必要と考える。
そこで、県は、2025年問題に対処するため介護人材の確保について、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺う。

答弁 知事
 森繁議員の御質問のうち、私からは介護人材の確保についてのお尋ねにお答えします。
 高齢化が進行し、要介護者の一層の増加が見込まれる中、個々の高齢者の状態に応じた、質の高い介護サービスを安定的に提供していくには、その要となる介護人材の確保が極めて重要です。
 このため、私は、現在策定を進めている「やまぐち維新プラン」において、「生活維新」を実現するための重点施策として、「介護提供体制の充実」を位置づけ、お示しのあった3つの視点を踏まえ、2025年を見据えた介護人材確保に取り組むこととしています。
 具体的には、まず「新規参入促進」に向け、小・中・高校生を対象とした介護現場の体験や、若手職員が介護の魅力を伝えるコンテストの開催、介護入門研修を通じた中高年齢者の就業促進など、介護の魅力の発信と多様な人材の参入促進に、積極的に取り組んでいます。
 本年度は、これまでの取組に加え、高校生・大学生等の新規学卒者の確保対策を強化するため、新たに「福祉のしごとインターンシップ事業」を創設し、希望する施設での実践的な業務体験を通じて、介護職場への就職を促進することとしています。
 次に、「離職介護人材の呼び戻し」については、離職時の届出制度の活用により、潜在的な有資格者を把握するとともに、復職希望者に対する準備資金の貸与や、研修機会の提供等を行っており、今後ともニーズに応じたきめ細かな支援により、再就職者の増加を図ることとしています。
 次に、「離職防止・定着促進」については、本年度、人材育成等に積極的に取り組む介護サービス事業所を、県が認証する「やまぐち働きやすい介護職場宣言制度」を創設したところであり、職員がやりがいをもって働き続けられる職場となるよう、事業所の主体的な取組を促進してまいります。
 特に、若手職員の活躍は、職場の活力となることから、仕事に対する意欲向上と、同期や先輩職員とのネットワークづくりを目的として開催している「合同入職式」には、私が毎回出席して、参加者を激励しており、引き続き、先頭に立って、若手職員の定着に取り組んでまいります。
 私は、今後とも、市町や関係団体等と連携しながら、県民誰もが、将来に希望を持ち、安心して暮らせる県づくりに向け、介護人材の確保に積極的に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。


3 保育人材の確保及び保育の質の向上について
①保育所の待機児童の増加が社会問題となっており、県内でも待機児童が発生している。
保育士確保は今後も継続して取り組むべき課題であり、新卒者の確保や離職者防止対策、潜在保育士の再就職支援など、市町と県が連携して一層取組を進める必要がある。
保育士の確保に向けてどのように取り組むのか伺う。
②放課後児童クラブの待機児童も全国的な問題である。平成27年度から小学校6年生まで対象児童が拡大し、ニーズに対し、施設整備や放課後児童支援員の確保が追い付いていない。特に、支援員の確保に各市町とも苦慮している。
 多様なニーズに応え積極的、継続的に取り組むべき課題と考える。支援員の確保に向けどのように取り組むのか伺う。
③県では、保育人材スキルアップ支援事業等による各種研修等を実施しているが、さらに質の高い保育を提供していくため、下松市の要望にもあるとおり、保育士や放課後児童支援員等を対象とした、研修機会の拡充を求める。
保育の質の向上にどのように取り組むのか、伺う。

答弁 部長
 保育人材の確保及び保育の質の向上についての3点のお尋ねにお答えします。
まず、保育士の確保についてです。
 保育ニーズが拡大する中、子育て家庭が安心して保育サービスを利用できるよう、保育士の確保が重要な課題となっています。
 このため、県では、市町や関係団体等と連携し、保育士の確保に向けて、新卒者の県内就職の促進や潜在保育士の再就職支援、離職防止等のための待遇改善など、総合的な対策を推進しているところです。
 まず、新卒者の県内就職の促進に向けては、今年度、新たに学生や保育所等が一堂に会する保育職進学・就職セミナーを実施したほか、保育士養成校を対象にメルマガによる就職情報の発信等に取り組むこととしています。
 また、潜在保育士の再就職支援に向けては、保育士バンクに配置したコーディネーターによる保育所と潜在保育士のマッチングや再就職支援研修などを行っています。
 さらに、待遇改善に向けては、昨年度、運営費に係る賃金改善の加算を拡充したところですが、依然として給与水準が低く、さらなる改善を国に要望してまいります。
 併せて、保育所への看護師等専門職の配置への支援等を通じ、保育士の負担軽減を図り、職場への定着を促進してまいります。
 次に、放課後児童支援員の確保についてです。
 放課後児童クラブでは、児童の対象年齢の拡大等により利用ニーズが高まっており、クラブで育成支援を担う放課後児童支援員の確保が大きな課題となっています。
 この支援員については、平成27年度から資格取得のための研修が義務付けられたことから、県では、毎年、県内3か所で研修を実施し、資格取得を積極的に進めています。
 また、待遇面が課題であることから、市町に対し、昨年度創設された、経験等に応じて賃金改善を図る国の補助制度の活用を働きかけています。
次に、保育の質の向上についてです。
 子どもたちの育ちをめぐる環境が大きく変化する中、多様化する保育ニーズに的確に対応していくためには、保育の質の向上を図っていくことが重要です。
 このため、県では、リーダー的職員の育成を図るキャリアアップ研修の実施回数や定員を拡大するなど、研修機会の充実を図っています。
また、新たに、保育施設における事故防止強化に向けた研修を行うほか、引き続き、保育士や地域の子育て支援を担う人材等を対象に、幅広い研修事業を実施し、資質や専門性の向上を図ってまいります。
 県としましては、今後とも、こうした取組を通じて、市町や関係団体等と連携しながら、保育人材の確保と保育の質の向上に積極的に取り組んでまいります。


4 国の米政策改革への対応について
 国による生産数量目標の配分は、経営感覚あふれる農業経営体を育成し、自らの経営判断に基づき作物を選択できる環境を整備して農業の成長産業化を図ることが重要であるとして廃止され、併せて米の直接支払交付金も廃止された。
政策転換を迎え、生産者は何をどのくらい作ればいいのか不安を抱えながら今後の方向性を模索しており、不安を取り除くことが求められている。
このため、需要のある作物を選択していくことが第一に必要なことを県が示し、その上で生産体制の強化に努め、本県農業を発展させなければならないと考える。
米については、多くの産地がブランド米など高価格帯の米生産に力を入れているが、中食・外食業者は値ごろ感を求めており、ミスマッチがある。
小麦も同様、需要がありながら供給が追い付いていない。
需要のあるものを選択し、生産することで生産者の不安は生産意欲に変わっていくことから、今ある需要を示すとともに、生産強化に励むことが必要である。
県は、国の米政策改革への対応について、どのように取り組んでいかれるのか所見を伺う。

答弁 部長
 国の米政策改革への対応についてのお尋ねにお答えします。
水田が耕地面積の8割を占める本県においては、米と畑作物を組み合わせた、需要に基づく生産が重要であることから、卸売業者等と収穫前に契約する「結びつき米」の取組や、製粉業者等と連携したパン用小麦の生産拡大などを進めてきたところです。
 この結果、平成28年産米の事前契約比率が約53%と全国3位になるとともに、酒造組合の要望を満たす酒米の生産拡大を実現するなど、需要に応える生産が進んでいます。
 しかしながら、大豆、タマネギをはじめ多くの品目で、市場から供給量の拡大等を求められていることから、需要に的確に対応する取組を、一層推進することが必要です。
 このため、お示しのような、国の政策転換による生産者の不安を払しょくし、安心して生産に取り組めるよう、作物ごとの需要情報をきめ細かく提供するとともに、需要のある作物の生産体制を強化することとしています。
 具体的には、まず、需要情報の提供について、県とJAグループ等で構成する地域農業戦略推進協議会において、本年度から、国による米の生産数量目標に代わり、県産米の需要動向等に基づく生産の目安と、麦や大豆、野菜など需要のある品目の生産目標を、生産者へ提示しているところです。
 とりわけ、量販店等から強い要望があるキャベツなどの品目については、需要が確実に生産につながるよう、新たに生産者を交えた協議の場を設け、消費者ニーズ等を迅速に生産現場にフィードバックし、生産意欲を喚起していきます。
 次に、生産体制の強化については、米の契約栽培を一層拡大するため、回転寿司チェーンから評価の高い新品種「恋の予感」の作付拡大や、養鶏農家から確実な需要のある飼料用米の多収性品種への転換など、用途別の需要に的確に対応してまいります。
 また、ニーズが高まっている加工・業務用野菜など、水田における畑作物の生産拡大に向け、水田高機能化等による排水対策を進め、集落営農法人を中心に、省力化に必要な機械の導入等を支援します。
 県としては、JAグループや流通加工業者等と緊密に連携しながら、国の米政策改革に的確に対応し、本県農業の発展に向け、需要に応じた生産の強化に、積極的に取り組んでまいります。


5 がん教育の取組について
 成人向けのがんに対する正しい知識の普及啓発の充実・強化以上に、子どもたちへの普及啓発に力を入れて取り組み、がん教育先進県をめざすべきだが、がん教育に特化した取組を行っている公立学校の割合は非常に低く、どう伸ばすかが課題であり、尋ねる。
 公立学校において、がん教育を実施する割合を増やしていくために、どのように取り組まれるのか、所見を伺う。
また、がん教育の推進においては、その内容の充実も重要であり、がん医療に携わる医師やがん経験者等が直接知識や経験を伝えることで、内容の充実を図っていくことが必要と考えており、尋ねる。
 がん教育の内容充実のため、専門職種等との連携にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 教育長
 がん教育の取組についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、公立学校において、がん教育を実施する割合を増やす取組についてです。
がん教育は、健康教育の一環として行われるものであり、その推進に当たっては、児童生徒が、がんそのものの理解やがん患者に対する正しい認識を深め、自他の健康と命の大切さについて、主体的に考えることができるようにすることが重要です。
 このため、県教委では、各学校で行われる保健体育科等を中心とした、がんに対する正しい知識、理解等の指導に加え、学校医、がん経験者等による講話の実施や文部科学省等が作成した教材等の活用を推進することにより、がん教育の充実に努めてまいりました。
 こうした中、平成28年に、「がん対策基本法」が改正され、「がんに関する教育の推進」が盛り込まれたことを踏まえ、県教委では、昨年7月に、学校におけるがん教育の実践に向けて、その必要性や具体的な指導内容・留意点、がん診療連携拠点病院等との連携方法などをまとめた資料「学校におけるがん教育の推進のために」を作成し、全ての公立学校に配付しました。
 また、本年3月に県が策定した「第3期山口県がん対策推進計画」に、学校におけるがん教育の推進が位置付けられたことを踏まえ、その取組の充実に努めているところです。
 こうした取組により、公立小・中・高等学校のうち、保健体育科の授業以外でがん教育に取り組む学校の割合は、平成28年度の14.9%から、平成29年度は19.5%へ増加するなど、一定の成果が見られたところですが、お示しのように、今後もさらに伸ばしていく必要があると考えており、引き続き、校長研修会や市町教委主管課長会議をはじめ、各種研修会等を通じて、学校の取組を促進してまいります。
 次に、専門職種等との連携についてですが、現在は、学校医やがん経験者、行政職員等との連携が中心であり、専門職種であるがん診療連携拠点病院のがん医療に直接携わる医師等を外部講師として活用することが課題と考えています。
 このため、今後は、資料「学校におけるがん教育推進のために」に基づき、専門職種等との連携を強化するとともに、その活用に当たっては、健康福祉部等とも連携し、学校の取組を支援してまいります。
 県教委といたしましては、学校の教育活動全体を通じた取組や専門職種等との連携が進むよう、市町教委や関係機関等と連携しながら、がん教育の充実を図ってまいります。


6 高齢ドライバーの交通事故防止のための環境づくりについて
 免許返納制度の一層の充実に向けてどの様に取り組まれるのか伺う。
認知機能検査待ちの平均日数が長期化している原因をどの様に認識し、今後その解消に向けてどのように取り組まれるのか伺う。

答弁 本部
 75歳以上の高齢ドライバーの交通事故防止のための環境づくりについてお答えいたします。
 本県における昨年の75歳以上の高齢ドライバーが運転免許保有者数に占める割合は9%ですが、75歳以上の高齢ドライバーによる交通事故死者数は16人で、全体の22%を占め、前者に比較して後者の割合が高くなっています。
 人口の高齢化が進む中、警察が関係機関、団体と連携して、この様な高齢ドライバーによる交通事故を防止するための環境を整えていくことは、重要であると認識しております。
 そこで、まず、運転免許証の自主返納につきましては、平成20年以降、本年5月末までに約22,000人の75歳以上の高齢ドライバーが自主返納されました。
 しかし、返納後の交通手段に不安を感じているために自主返納をためらう高齢ドライバーも多いのが実情ですので、やまぐち維新プランの素案には、生活交通の維持・活性化とありますが、このような交通手段の確保は地域全体で取り組む必要がある課題であると認識しております。
 この観点から、警察においては、関係機関、団体と連携して免許証返納後の交通手段の確保を進めているところであります。
 具体的には、本年5月末までに約230の運輸事業者のご協力が得られまして、県警察の発行する運転卒業者サポート手帳あるいは運転経歴証明書を提示すれば、1割の運賃割引などが得られるようになっております。
 また、県内には、70歳以上の高齢者などに、バス、タクシーの優待証利用券を交付する自治体や中山間地域でコミュニティバスなどを運行する自治体があります。そこで本年、すべての自治体に対し、免許証を返納した高齢ドライバーへの優遇措置の新設、拡充やコミュニティバスなどの運行エリアの拡大を要請したところであります。
 県警察といたしましては、引き続き、関係機関、団体と連携して、免許証を返納した高齢ドライバーの交通手段の確保に努めてまいります。
 次に、高齢ドライバーの認知機能検査の待ち日数の短縮化についてお答えします。
 まず、認知機能検査の平均待ち日数が長期化している原因は、昨年3月の改正道路交通法施行により、自動車教習所の負担が増大したことにあると認識しています。すなわち、法改正前は75歳以上の高齢ドライバーの免許証更新時の認知機能検査と高齢者講習は1日で行われていましたが、それらを2日に分けて行わざるを得なくなったこと。そして、一定の交通違反をした75歳以上の高齢ドライバーに、臨時に認知機能検査を受けることなどが義務付けられたことであります。
 そこで、本年5月1日以降全ての臨時認知機能検査を警察が行うようにしましたが、自動車教習所の十分な負担軽減には至っていないと考えております。そのため、現在、免許証の更新時の認知機能検査も警察において行うことができるような体制などについて検討を行っているところです。